「薬による不調」が続く負のループ
糖尿病や高血圧、花粉症、不眠症といった「現代病」に悩む人たちにとって、欠かせないのが内服薬だ。頭痛やのどの痛みなどを感じたら、とりあえずドラッグストアで風邪薬を買って服用するという人も多いだろう。
日本人の「薬依存」が高まる中、副作用について警鐘を鳴らし続けているのが、松田医院和漢堂(熊本県熊本市)の松田史彦院長だ。松田氏は2012年、減薬や断薬をサポートする「薬やめる科」を開設した。
「薬によって症状が軽減されても、副作用として他の部位に影響が出る可能性がある。もともとヒトの体にはない化学物質でできた薬が体内に入ってくるので、効能もあるが、副作用があるということを理解していない人が多すぎます。
副作用による不調を新たな病気と勘違いし、病院に駆け込み別の薬を服用してさらに別の副作用を抱え込む。まさに負のループである。長期間薬を飲めば、副作用はより出やすくなると思ったほうがいい」
「なんかだるい」が副作用のサイン
松田医院が相談を受ける薬のトラブルはさまざまだが、そのなかで薬を飲み始めた人に多い訴えが、疲労感や倦怠感だという。
「血圧系の薬を初めて服用する場合、疲労感、倦怠感を強く感じるといったあいまいな症状が出ることがあります。飲み始めてから早くて数日後、遅くて数カ月後に出てくることもあります。頭痛や吐き気、下痢といったはっきりした症状であれば、わかりやすいのですが、疲労感となると、普通は寝不足やストレスを疑う。だれも、薬が原因とは考えないので厄介なのです」
実際に、コレストロールを下げる薬を服用していた女性が診察中に「だるくてしかたがない」と訴えていたことから、薬の服用を中止してもらったところ、だるさや疲れがなくなったという症例もあったという。
疲労感や倦怠感ならばまだ許容できる範囲かもしれないが、薬によってはさまざまな異変が体に現れてくることがある。