(前編から続く)

侵入盗と闇バイト強盗の対策の違い
前編の冒頭でも触れた通り、家に侵入して貴重品を盗む侵入盗の中で、最も多いのは、留守を狙う「空き巣」、次が就寝中に入られる「忍び込み」で、この2つだけで9割以上を占めます。家人に危害を加える闇バイト強盗など侵入強盗の割合は、約1%と実は少ないのです。(警察庁:令和5年の犯罪より)
従来型の侵入盗というのは、捕まるリスクを避けるため、家人がいない時間帯を狙う犯行が多い傾向にあります。近隣や通行者の見守りの目があると、犯行を断念することもあるので、人の目が届きやすい環境をつくることが重要になります。つまり、敷地の前で犯行を阻止する「敷地に入らせない」対策を重点的に講じます。
一方、闇バイト強盗の場合は、指示を受けた素人があえて在宅中、しかも無防備な深夜・早朝を狙い、家人に暴行を加えて金品がある場所を聞き出すという傾向があります。手段を選ばず無理に実行する強盗に対しては、命を守ることを最優先にしなければいけないので、「家に入られた時」の対策を徹底する必要があるのです。
不審者をブロックする「侵入防止線」
住宅街に限って言うと、他人が自宅の敷地に入らないようにする対策を講じることが重要です。宅配業者が置き配のふりをしたり、水道業者がメーターを見るふりをしたりして、敷地の奥まですっと入っていくことができてしまう環境は、とても危険です。
不審者を簡単に入れない環境をつくるには、敷地に「侵入防止線」をつくることです。それには、次の3つの対策を講じてください。
対策1:建物横通路は「侵入禁止」に

隣家との間の通路に園芸用のフェンスや鍵付の仕切り戸を立てる、自転車を置き、チェーンロックで止める、などして、敷地に入っている人がいたら怪しいと近隣の人や通行人に思わせる状況をつくります。
家の前にオープンの駐車スペースがある場合、犯行グループがそこに車を止めて、一人が見張り、車の陰で残りの侵入犯がバールで玄関や窓をこじ開け、中へ入るという手口があります。
犯行を阻止するために道路と駐車スペースの間にゲートやチェーンポールを立てるといいでしょう。こうすれば犯人は車で陰を作ることができません。簡易的に複数のプランターを置く対策ならば、工事をせずに多少の抑止効果が期待できます。