最後の鷹狩に同行した医師は、田沼意次が派遣した?

これまで見てきたように、家基には不健康なところはありませんでした。亡くなる同じ月にも「放鷹」や「鷹狩」を行っています。よって家基の急死には裏があるのではないかとの説も出てくるのです。『続三王外記』という書物も家基の死に裏があるのではないかとするものの1つです。

同書によると、家基の最後の鷹狩の際には池原雲洞(伯)という医師が随行していました。医師・雲洞は老中・田沼意次(演・渡辺謙)が家基に付けさせたということで、家基は意次により間接的に毒殺されたのではないかというのです。しかし、この『続三王外記』との書物の史料的価値は低いとされています。しかし、部分的に信用できるところもあると主張する学者もおります。(辻達也「田安宗武の籠居をめぐって――『続三王外記』の信憑性――」(『専修史学』24号、1992年)。では、意次が家基を殺害したとの風説や逸話は信用できるのでしょうか。