きょうだい間の話し合いが最大の関門

ということで、タカシさんは妻のミユキさんと私共に背中を押され、弟と話し合いのテーブルにつきました。結論はどうなったかと言えば……。義母に必要な援助金年84万円のうち、兄のタカシさんが3分の2の56万円を、2人の子供の教育費などがかかる弟は残り28万円を出すことで決着。タカシさんの負担は軽減されました。毎月1万円(年12万円)を母の援助金にあて、残り44万円はひとまず金額の変動を覚悟しつつ、夫婦のボーナスからやりくりする計画です。

現在、早川さん夫婦は、家計改善で増えた黒字額のうち、月11万5000円をNISAに回して、老後資金に励んでいます。並行して、現在の貯金額1500万円の一部を投資に回そうと、今、動いているところです。手元に残す貯金は、生活費約44万円の7.5カ月分、約330万円あれば急場をしのげるだろうという算段です。

これで、妻のミユキさんも一安心。これまでモヤモヤしていたきょうだい間の負担割合がスッキリ解決し、老後資金も確保できるのですから。

ただ、早川さん夫婦のプランが順調にいくかどうかは不透明です。給料が減るかもしれないし、病気で働けなくなることもあります。そうなれば、義母への援助も難しくなります。それは、タカシさんの弟の家庭も同様で、そもそも弟の奥さんがこの負担に不満を抱いている可能性もあります。

そうした不安要素はありますが、援助費の目安は、現状の“懐具合”だけを見るのではなく、自分たちの老後資金を見据えた上で、きょうだいがいればきょうだいと話し合い、無理のない範囲で出すというのがセオリーです。きょうだい間の話し合いは、それぞれの家庭の思惑や経済事情もからむため一朝一夕には進みませんが、互いの今後の夫婦関係のためにも、心を鬼にする部分と誠実な気持ちで臨むことが重要になります。

横山 光昭(よこやま・みつあき)
家計再生コンサルタント、株式会社マイエフピー代表

お金の使い方そのものを改善する独自の家計再生プログラムで、家計の確実な再生をめざし、個別の相談・指導に高い評価を受けている。これまでの相談件数は2万6000件を突破。書籍・雑誌への執筆、講演も多数。著書は90万部を超える『はじめての人のための3000円投資生活』(アスコム)や『年収200万円からの貯金生活宣言』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)を代表作とし、著作は171冊、累計380万部となる。