本人の態度ではなく、反射の問題
よく電車で座ってスマホを見ていて、両足を投げ出している人がいますね。マナーが悪いということもありますが、つい「原始反射が残っているんだな」という目で見てしまいます(笑)。
TLR(緊張性迷路反射)も姿勢の悪さにかかわっています。TLRは頭を前に曲げると全身が前屈し、頭を後ろに反らすと全身が伸びる反射です。この反射が残っていると、上を向くと体が反ってしまい、下を向くと体が丸まってしまいます。授業中にこの反射が出てしまうと、姿勢が悪い、態度が悪いとされてしまうでしょう。
脊椎ガラント反射(スパイラルギャラント反射)が残っている子は、腰まわりや背中の刺激を嫌がるため、椅子に座るのが苦手です。学校の椅子には背もたれがあるため、もたれかかると気になって体がくねくねしてしまいます。その反応を見た大人から、「姿勢が悪い」「ビシッと座りなさい」などと言われてしまうこともあります。
でも、これらはみな、態度の問題ではなくて反射の問題です。子どももある程度、自覚ができる年齢になれば「ちゃんとしなくちゃ」と思うようになります。でも、そうやって反射を抑えようと頑張れば頑張るほど、ストレスがたまります。
「勉強は姿勢から」と押しつけても意味がない
先生や親から「姿勢をよくして」と注意されることも同様です。加えてモロー反射が残っていれば、感覚過敏があることから、ほかの子の動きや、音や光が気になったりします。こうしたストレスを抱え、コントロールされる状況から逃れたいと思うと、授業中にその場にいられない。結果、立ち歩いてしまうことにつながります。
そもそもストレスを抱えている状態では、授業どころではありません。学習内容が頭に入らなくなるのも当然です。これが家庭での癇癪につながることもあります。学校ではなんとか頑張っても、ストレスをため込んで家に帰ると、それが爆発して癇癪を起こしてしまうこともあります。
教育現場では、よく「勉強は姿勢から」と言います。それはもっともなのですが、原始反射が残っている子どもに、いきなり、いい姿勢を押しつけても、うまくいきません。むしろ、原始反射が残っているお子さんは、勉強などに集中しているときほどお行儀が悪い姿勢で勉強していることがあります。集中しすぎて無意識に原始反射が出てしまうからです。