料理で「手先の器用さ」を鍛えられる

お料理をするときは、火の扱いや刃物など危険なものもあるので、決して目を離さないなど注意が必要ですが、刃物を使うのが心配であれば、手でちぎることでもOKです。環境を整備して、その子の認識(刃物は切れるから危ないことを理解しているかどうかなど)のレベルに合わせてやりましょう。

料理には、力の入れ具合を調整したり、ものをつかんだり、押さえたりする動きがたくさんあります。親子で一緒にやる、外でバーベキューをする。興味の引き方はいろいろです。これが手先の器用さにもつながり、達成感も得られます。

キッチンで母親と料理をする子ども
写真=iStock.com/JGalione
※写真はイメージです

また、熱い、冷たいなど手で温度を感じるのも刺激の1つ。温かい飲み物、あるいは冷たい飲み物を入れたコップを持つ(もちろん、やけどしない程度の温度にしてください)だけでもいいのです。

ある小学校高学年の子どもは、家で料理の手伝いをたくさんしているうちに、野球や水泳が急に上達したと言います。これも、原始反射の統合と無関係ではないでしょう。絵を描くのが好きなら、手指を使って絵を描いてもいいですよ。

「姿勢が悪い」のは“やる気がないから”ではない

授業中の姿勢が悪いと、学校で注意されがちです。でもそれは性格がだらしないとか、やる気がないということとは違うかもしれません。原始反射の残存が原因のことも少なくないのです。

「座る」ことにかかわっている原始反射は複数あります。まず1つがSTNR(対称性緊張性頸反射たいしょうせいきんちょうせいけいはんしゃ)です。STNRは、あごを上げると上肢が伸びて下肢が曲がり、あごを下げると上肢が曲がって下肢が伸びる反射です。ですから、板書をするために黒板を見ようとしてあごを上げると姿勢が崩れてしまいます。あごを上げ下げすると、同時に目の動きも上下するので、ビジョンがととのっていることも重要です。

STNRはハイハイの動きに関する反射です。頭を上に向けると背骨がキュンと反ります。と同時に手が伸びて膝が曲がり、股関節も曲がります。反対に、頭が下を向くと、肘が曲がって足が伸びて、うつ伏せに戻るような動作になります。

たとえば、板書をするときは黒板とノートを交互に見ますよね。STNRが残存していると、ノートに字を書こうと首を曲げて下を見るときに肘が曲がり、足が伸びてしまいます。つまり、姿勢が乱れやすくなるのです。

また、足を投げ出して座る、投げ出した足をからませる、あるいは椅子なのに、なぜか正座をしてしまう、椅子の上であぐらをかいたり、膝を立てたりしてしまう……これらもみな、STNRの残存が影響しています。