iPhone 16eのカメラでは超広角やマクロ撮影ができない

カメラはシングルレンズ仕様。4800万画素センサーの中央2400万画素分だけをトリミングすることで疑似的な2倍ズームを利用できるものの、「iPhone 16」に搭載されている超広角レンズや、本体側面の「カメラコントロールは非搭載。被写体に近寄って大写しにできるマクロ撮影にも対応しない。「iPhone 16」に比べて、カメラ機能については大きな差が付いている。

そして本体底面の接続インターフェースはLightningからUSB-Cに(これで、Lightning搭載iPhoneはラインアップから消えた)。

「iPhone 16e」
「iPhone 16e」 出典=Apple公式サイト
「iPhone 16e」の接続インターフェースもUSB Cになった。
「iPhone 16e」の接続インターフェースもUSB Cになった。 出典=Apple公式サイト

1ドル151.5円レートで約10万円に値上げ、円安になれば…

10万円に迫る価格になったものの、それに見合う高性能を備えた「iPhone 16e」。結局のところこれは「買い」なのだろうか? それとも「買ってはいけない」のだろうか? 筆者としては様子見の「待ち」としておきたい。

第1の理由は為替レートだ。「iPhone 16e」128GBモデルの米国価格は599ドルで、税込み9万9800円は1ドル=151.5円ということになる。トランプ大統領就任前に彼が掲げていた1ドル=120円に向かっていくのであれば、「iPhone 16e」の価格はグッと現実味のあるものになっていく。1ドル=120円になればなんと税込み7万9068円である。実際にそこまで円高が進むかは分からないが、今すぐ買い換える必要がないのであれば、もう少し待ったほうがよさそうだ。

第2の理由はデータ通信に利用する内蔵セルラーモデムの実力が未知数なこと。「iPhone 16e」では、これまで利用していた業界最大手の米クアルコム製セルラーモデムではなく、自社開発の新型セルラーモデム「Apple C1(以下、C1)」を搭載している。それによるコストダウンや高性能化、差別化を追求したいアップルの狙いはよく分かるのだが、セルラーモデムは国ごとに大きく異なる通信事情に対応した複雑な設計が必要で、その開発難度はある意味でCPUなどよりもはるかに高い。あのインテルすら撤退したと言えばその難しさが伝わるだろうか。

アップルはインテルのセルラーモデム事業を2019年に買い取り、足かけ6年かけてついに「C1」搭載にこぎ着けたわけだが、初のセルラーモデムがいきなり理想通りの性能を発揮するとは考えにくい。実際、満足いく性能を出せず、ここ数年搭載延期を繰り返してきたとも言われており、不安はある。