ヒズボラとフーシ派のイスラエル包囲網
ヒズボラはハマスの10倍は強い!
ハマスとの戦いで、イスラエルは現在、ガザ地域の中立化(武装解除)を行っていますが、その隙をついて、陸続きの隣国レバノンの南部を拠点にするヒズボラ(戦力はハマスの10倍といわれています)の国境付近での動きも活発になっています。
ハマスとヒズボラの共通点は黒幕がイランであること。イランの支援を受けた陸続きのハマスとヒズボラの両勢力とイスラエルの戦いはランドパワーの論理で行われています。
こうしたイスラエルの包囲網のシナリオを描いたのはイランといえますが、イランはなぜそのようなことをするのでしょうか。それはシーア派イスラム原理主義のイデオロギーに則って、イスラエルを地図上から抹殺することを国是としているからです。一方、イスラエルは「全世界から同情されながら滅亡するよりも、全世界を敵に回して戦ってでも生き残る」を国是としていますから、いくら周辺が敵対国だらけでも、一歩も引く姿勢がありません。
また、海上作戦を展開するイスラム過激派組織も存在します。同じくイランの支援を受けたイエメン北部を拠点とするフーシ派です。この組織の強みは、国際海運の要所のひとつである「紅海」の出口に面していることです。

フーシ派の影響を受ける日本の船
イエメン北部を押さえるイスラム過激派組織フーシ派の最大の強みは、地政学でいうところのチョークポイントである紅海の出口を押さえていること。これにより、紅海を航行する「親イスラエル」の国の船舶を攻撃することが可能になりました。
日本もこの影響を受け、石油タンカーなどの船舶は紅海航路を回避してアフリカの喜望峰を迂回するルートを通ることを余儀なくされています。
1960年、東京都生まれ。85年同志社大学大学院神学研究科修了。2005年に発表した『国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて』(新潮社)で国策捜査の裏側を綴り、第59回毎日出版文化賞特別賞を受賞。『自壊する帝国』(新潮社)で新潮ドキュメント賞、大宅壮一ノンフィクション賞受賞。『獄中記』(岩波書店)、『交渉術』(文藝春秋)など著書多数。