他人にも自分にも優しくしてみる

いつも他人を優先したり、いつも自分を優先したりではなく、自分にも他人にも、優しさを均等にふり向けましょう。

他人に優しくしたら、それと同じだけ自分自身に「お疲れさま」「がんばってるね」と声をかけてあげてください。

自分自身をいたわる

愛着の問題を抱えている人は、心の奥底で「自分のことはどうでもいい」といって自分のケアを後回しにしがちです。しかし、自分自身をかわいがる「セルフケア」を怠ると、いずれ疲弊し、心と体の健康を保つことができなくなります。

もし、他人には優しくできるのに、それを自分に向けることにためらいがあるなら、他人を許し、他人に優しくしてあげたことを、そのまま自分にも同じ量だけしてみてください。意識的に自分をケアする時間を徐々につくっていきます。

自分の感情を認識する
自分の気持ちに正直になる。ネガティブな感情を無視せず、そこにその感情が存在することを認める。心のなかで「今日はちょっと疲れているな」「少しイライラしているな」と感じたら、その感情を言葉にしてみる。

いたわる時間をつくる
ベッドでゴロゴロする、好きな本を読む、どこかに行く、おいしいものを食べる、静かに音楽を聴くなど、自分がいま本当に望むことを少しだけやってみる。人の目を気にせず、人の期待を気にせず、ひとりで実行してみよう。

自分に優しくする言葉をかける
自分を責めてしまいがちな人は、内なる声が自分の希望を非難することがある。自分を励ます言葉を意識的にかけることが大切。「昨日はがんばったから、休んでいいよ」といった言葉を自分に向けて言ってみる。

村上 伸治(むらかみ・しんじ)
精神科医

1989年岡山大学医学部卒業後、岡山大学助手、川崎医科大学講師を経て、2019年より川崎医科大学精神科学教室准教授。専門は青年期精神医学。著書に『実戦 心理療法』『現場から考える精神療法 うつ、統合失調症、そして発達障害』(共に日本評論社)、編著として『大人の発達障害を診るということ 診断や対応に迷う症例から考える』(医学書院)などがある。