自分の「家の構造」の弱点に気づく
愛着障害は正式には小児の障害なので大人には用いませんが、大人の患者さんと話をしていると、多くの方に愛着の問題が見られます。患者さんは愛着の問題とは気づかず、他の病気の症状や、自分の性格だと考えています。
とくに精神疾患が再発しやすかったり精神状態が安定しなかったりする患者さんに向き合っていると、愛着の問題が見えてきます。
たとえば「自分がきらい」と言う人には、「いつからですか」と聞きます。「小さい頃から」と答えた人は、たいてい愛着に問題があります。
また、愛着に問題があると自分をいたわることができません。多くの人が自分を傷つけ、まるで自分をむち打つような生き方をしています。
それを指摘すると「たしかにそうですね」とうなずく人が多いのです。
このように、自分の「家の構造」の弱点に気づくことは非常に大事なことです。弱点がわかれば、そこから補強工事をスタートさせることができるからです。
そのためにも、自分ひとりで悩まずに医師やカウンセラーに相談し、第三者の視点をとり入れるようにしてください。
早く自立することを求められた幼少期
あなたはいままで「人に頼ってはいけない」と思って生きてきたのではありませんか。愛着に問題を抱えている人は過度に自分に厳しくして、困っていても人に助けを求めることができません。
助けを求められない心理を抱えてしまっている原因のひとつと考えられるのが、幼少期からの体験です。小さい頃に誰かに助けを求めたときに「自分でやれ」と断られたり、「うるさい」と怒られたりしたことはないでしょうか。
または「自立しなくちゃ」という思いにとらわれ、人に頼れない人もいます。「自分ひとりでやらなくては」「自分の問題は自分で解決すべき」と思い込んでいる人もいるでしょう。「こうなったのは自分のせいだから人に迷惑はかけられない」など、自責思考が影響している人もいます。
心の奥底ではSOSを発しているのに助けを求めることができず、限界まで自分を追い詰めてしまう人がとても多いのです。