企業にとっては3号でとどまってくれるパートは都合がいい
企業側も夫の扶養でおさまってくれれば社会保険料を払わなくてすみます。
今、パート社員の社会保険料の企業負担を5割以上に増やすなどの議論も進んでいます。企業にとってみると年金を含め社会保険料の負担を少しでも減らしたいところです。
いつまでも夫の扶養に入ってくれる第3号被保険者は、パートとしてとても貴重な存在であり、正社員にしようなどと思うはずがありません。
主婦年金のような一見主婦にとって有利な制度が残ることが、大川さんのように数年のブランクを経てキャリアに戻りたい女性にとっては有益ではないのです。
“3号主婦”の行きつく先
現在、自営業などの国民保険加入者(第1号被保険者)は1431万人、厚生年金加入者(第2号被保険者)の4535万人と合わせて約6000万人に対して、第3号被保険者は1割弱の763万人います。1985年導入以降、その割合は減少していますが、50代は維持しています。
一人目を出産後、例えば20代、30代で正社員から専業主婦やパートになってしまうと、キャリアが遮断され給与は半分以下になります。数年から10年、自分のキャリアを忘れて育児をすることでスキルを維持できなくなります。その後、転職、正社員登用の機会を逃しているうちに介護要員にされてしまうといった昭和の主婦に後戻りしてしまいます。