「子どもの命に関わることがない限りは救ってくれない」
行政からは「要観察にしてあげる」と言われてその後、電話でやりとりがありましたが、「こうしたらどうですか」という提案はなくて、正直、話を聞くだけなら誰にでもできるのではないかなとも思ってしまいました。
子どもの命に関わることがない限りは救ってくれないんだなって。助けを求めても、結局こんな感じなのかなって思いました。虐待の事件をニュースで見るんですけど、虐待する親の気持ちも分からなくないって、本当に追い詰められていくんだって思いました。必ず助けを求めるサインは出していると思うんです。でもなかなか気づかれない。本当にスカスカのザルなんだって感じます。
様々な手段で伝えようとしてきたサインはなかなか察知してもらえず、「行政に頼っても仕方ない」という諦めの気持ちを抱くことに繋がっていった。
追い詰められ、特別養子縁組も考えた
石川さんは、家庭を維持し、子どもたちを育てていくことはもう限界だと感じていた。実母に相談すると、「母親なんだからしっかりしなさい」と叱られ、かえって「逃げてはいけない」、「絶対に責任を放棄してはいけない」と思うほど追い詰められた。本当に方法はないのかと探すうち、子どもを望む人に育ててもらうという選択肢もあるのではないかと思うようになった。
互いに協力しあうはずの夫は、妻が家庭のことを全て担うのが当然だという態度で、感謝やねぎらいの言葉はなかった。子育てのストレスが重なり、夫にもう投げ出したいという気持ちを伝えると、「母親失格だ」という言葉が返ってきたこともあった。