子ども部屋が無かった医学生もいた

次に「子ども部屋は共同部屋だったか? 個室だったか?」など、子ども部屋のスタイルについても聞いてみました。結果は、個室だった学生が64%と過半数を占めています(図表6)。

しかし、個室を持っていた子どもでも「子ども部屋は持っていたが、寝る以外まったく使わなかった」(茨城県/女性/現役)「子ども部屋は寒いので、リビングでずっと勉強していた」(東京都/女性/現役)などの意見がありました。

また兄弟姉妹と一緒の共同部屋だった学生たちは、「子ども部屋が一番好き」という意見もあり、その理由として「姉と弟との3人部屋。一番落ち着くから」(福井県/男性/現役)「兄弟の部屋が自分たちの城みたいな感じで楽しいから」(東京都/男性/現役)などをあげており、兄弟姉妹の仲が良いようです。親にとって兄弟姉妹が仲良く、生涯にわたり助け合うことは何よりもうれしいことですね。

その他にも「家族が寝る部屋に自分の勉強机があっただけで、自分の部屋はありませんでした」(千葉県/現役/女性)など、子ども部屋自体が無かった学生もいたことには驚きを隠せません。

【図表6】自分専用の部屋でしたか? 共同部屋でしたか?
筆者提供

多機能な子ども部屋は成長を阻害する可能性も

これらの結果から、子ども部屋で勉強する時期は中学生の一時期が多いことから、「デスクもインターネットも、テレビもベッドも完備」など、多機能で広い子ども部屋を整えてあげることはエリートを育てるには必ずしも必要でないことがわかります。そればかりか、インターネットやSNSが日常の子どもたちにとって「引きこもれる」子ども部屋は、子どもの成長にとって弊害になる可能性さえあります。

また忍耐力や協調性など社会生活に必要な「非認知能力」を伸ばすのであれば、幼いころから共同部屋で育てる方針もありではないかと考えます。

しかし、子ども部屋は思春期には「安心して就寝するためのパーソナルスペース」「自分の好きなものを管理保管(収納)できるスペース」としてシンプルに整えてあげる必要もあり、共同部屋にする場合は、狭くてよいので「一人になれるスペース」を間仕切りやカーテンなどで作ってあげることが大切です(図表7)(図表8)。

【図表7】布団の場合
筆者提供
【図表8】ベッドの場合
筆者提供