レクリエーションの充実は、炭鉱員募集のためだった?
端島では、舞踊、弓道、コーラスといったクラブ・サークル活動も盛んだった。職員と家族のレクリエーションも頻繁に催され、大いに賑わったという。春には職場対抗のソフトボールといったスポーツ大会、夏には納涼大会、秋には文化祭と季節ごとにイベントが目白押し。上記は一例でしかないが、島外におもむくレクリエーションなども含め、長い歴史の中で様々な催し物があった。
端島でここまで娯楽が充実していたのは、もちろん厳しい条件で働く炭鉱員のための手厚い福利厚生という意味合いもあるが、端島の炭鉱従事者を増やすため、という側面も確かにあっただろう。規模拡大を続けた時期の炭鉱では、人手はいくらあっても足りないほどで、端島で働くことの魅力を対外的にもアピールすることで人を集める必要があったのだ。
編集プロダクション。国内外問わず、旅、歴史、アウトドア、サブカルチャーなど、幅広いジャンル&テーマで取材・執筆・編集制作を行っている。バスや鉄道、航空機など、交通関連のライター・編集者とのつながりも深い。編集した本に『秘境路線バスをゆく 1~8』『“軍事遺産”をゆく』『地下をゆく』(イカロス出版)、『攻防から読み解く「土」と「石垣」の城郭』(実業之日本社)、『路線バスの謎』『ダークツーリズム入門』『国道の謎』『図解 「地形」と「戦術」で見る日本の城』『カラーでよみがえる軍艦島』(イースト・プレス)、『ニッポン秘境路線バスの旅』(交通新聞社)、『2022年の連合赤軍 50年後に語られた「それぞれの真実」』(深笛義也著、清談社Publico)、『日本クマ事件簿』(三才ブックス)などがある。