外貨建終身保険よりアメリカ国債に直接投資したほうがいい

図表3を見ていただきたい。

ある外資系保険会社Aの外貨建終身保険を見ると、加入から35年たっても契約者に還元される運用益は65%であとの35%は保険会社の取り分になってしまう。契約後の適当な時期に解約してそれまでの運用益を回収するのが資産運用保険への投資の方法だが、20年で解約しても48%の運用益しか契約者に還元されない仕組みになっている。

この理由の一つとしては保険の形をとっているため、生命保険金10万ドル(約1500万円)がついているので、保険料すべてが資産運用に回されているわけではないのと、保険会社の経費が差し引かれていることが挙げられる。

資産運用と死亡保障の二つの機能を兼ね備えているので、どっちつかずの保険になっている。また、解約した時点で死亡保障がなくなるので、何のために死亡保障がついているのかもわからない。

そのため、資産運用の観点から言うと契約者はアメリカの高金利で資金を運用したことにならない。アメリカの金利を年4%としたら、契約者に還元されるのは20年間で年2%弱、35年間で2.6%程度である。

これなら、死亡保障は別に考えて、アメリカ国債に直接投資したほうが年4%の金利で運用することができるので、メリットが大きい。

【図表3】外貨建終身保険は保険会社の取り分が多い
筆者作成

投資のルール3「投機心を煽るものには投資をしない」

3番目に重要なのは、投機心を煽るものには投資をしないということだ。

これらの商品には先程説明したレバレッジを使って、自分の資金力以上の投資をするものが多い。

株式の信用取引は保証金の3.3倍までの取引ができるし、FXでは25倍までの取引が可能だ。うまくいけば大きく儲かるが、失敗したときは損失が大きい。相場が下がれば、保証金がゼロになり追加の保証金を積むことを求められるか、その場で損切りをすることになる。心理的に損切りはなかなかできないので、保証金を積み増しして深みにはまってしまうことが多い。

株式のデイトレードは1日のうちに何十回、何百回も売り買いを繰り返し、その差益を目指す方法だ。プロの投資家がやる方法だが、個人でもやっている人が多い。これもレバレッジを使って自分の資金力以上の投資をすることが多い。それに加えて、瞬時に判断を迫られるので、相場が予想に反して急落したときなど、狼狽ろうばいし、誤った判断をしてしまう。資金力に余裕のあるプロの投資家なら冷静に対処できることでも、資金力の乏しい個人投資家はパニックに陥りやすい。個人投資家にとっては危険な投資方法だ。