完全移住前に短期の地域暮らし体験も

失敗移住のケースを少なくするため、「地方創生移住支援事業」の移住支援金とは別に、移住者を迎える体制を整えているところもあります。

長野市の日本人農家家族の父と息子
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たとえば山梨県の北杜市、韮崎市、南アルプス市、山梨市、甲府市、富士吉田市などでは、東京からの移住者に対し、移住お試し住宅を無料もしくは低価格で提供しています。一定期間そこで暮らしてもらい、地域を視察・経験してもらおうというもの。住居・仕事・子どもの就学先を探しに何度も山梨県を訪れている人など、移住を本気で考える人が利用しやすいようになっています。お試し移住は、前述した宮崎県都城市も補助金支給制度を整えています。

いきなり移住するのではなく、こうした短期の移住体験で地域のさまざまな状況を見ながら、じっくり考えてみるのがいいでしょう。

もし、地方移住を考えているのであれば、お得な制度を利用しない手はありません。とことん調べ、納得したうえで最適な地を選ぶことが賢い移住と言えそうです。

荻原 博子(おぎわら・ひろこ)
経済ジャーナリスト

大学卒業後、経済事務所勤務を経て独立。家計経済のパイオニアとして、経済の仕組みを生活に根ざして平易に解説して活躍中。著書多数。