5月に予言されていた「勝ち筋」
しかし、茂木氏の増税ゼロは、今年5月時点に渡瀬裕哉氏(早稲田大学公共政策研究所 招聘研究員)によるプレジデントオンライン記事(「増税メガネ」から「増税王子」に代わるだけ…刷新感どころか古い自民党に逆戻りする「進次郎候補」の恐怖のシナリオ)で「自民党支持層の本音」としてあぶり出されていた「増税メガネ否定」路線そのものなのである。本音ベースでは「自民党支持層は、実は消費税率維持・引き上げに強いこだわりはなく、むしろ減税を支持していた」との調査結果が出、これが自民党大逆転の秘策となるであろうというのが渡瀬氏の分析であった。
自民の女神は、キングメーカー麻生さんの子に微笑みがちなので、結局はなんだかんだ組織票のあるデジタル河野さんと、旬は逃したがタカ派地盤に支えられる高市さん、70前ラストチャンスの石破さん、勝ち馬に乗りたい浮動票を集めた進次郎、もしかしたら70歳組が抜ける3〜5年先に向けた爪痕を残すコバホーク、なのかなと感じているところではある。
だが、イデオロギーやポーズを抜きにして生活者たる国民から本当に求められている政策を見抜き、時流に合わせて適切に修正を加え、日本の成長を正しく企み、日本のリーダーを目指す戦い方もあるのだ。
「自民の政治といえばイデオロギー、そして人事」という認識をひっくり返して、論拠があり信頼のおけるフェアでサステナブルな政権がそろそろ見たいな、と思うのだが……投開票は27日だ。
1973年、京都府生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業。時事、カルチャー、政治経済、子育て・教育など多くの分野で執筆中。著書に『オタク中年女子のすすめ』『女子の生き様は顔に出る』ほか。