夫婦同氏制で遠い未来は「佐藤さん」だけの日本に
今から約500年後の2531年には、日本人全員が「佐藤さん」だけになる――。
そんなことあり得ないと思うだろうが、日本人の名字の未来を予測すると、全国いたるところ「佐藤さん」だらけなるというのだ。
こんな驚くべき結果が発表されたのは、去る4月1日。まさにエイプリルフールに始動した「#2531佐藤さん問題」だ。一般社団法人「あすには」が企画した「Think Name Project」の一環として行われた、日本の名字の未来シミュレーションである。
なぜ、そうなってしまうのか。
その背景には、日本が世界で唯一、「夫婦同氏制」を採用している国であること。つまり、この国で結婚した夫婦は、夫または妻のどちらかの姓を名乗ることが義務づけられている現状がある。
日本でもっとも多い名字は「佐藤」であり、佐藤姓は国民全体の1.529%(2023年時点)という。一年間に結婚するカップルは約50万組とすると、夫婦同姓によって毎年50万の名字が消えていくことになる。同プロジェクトでは、ひとつの仮説を打ち出した。
「佐藤姓と婚姻するケースが多くなり、これを繰り返していくと佐藤姓だけになるのではないか?」と。
この仮説にもとづき、東北大学経済学研究科/高齢経済社会研究センターの吉田浩教授に独自調査を依頼。公表データをもとに分析が行われた。国内の推計人口における佐藤姓の占有率は、2022年から23年までの1年間で0.83増加。毎年この伸び率で佐藤姓が増えていくと仮定すると、「約500年後の2531年には、佐藤姓が100%に達する」という結果が導き出されたという。
500年後というあまりにも遠い未来のため実感が湧きづらいが、「佐藤さん問題」として大いに話題になったので、記憶に新しい人もいるのではないだろうか。