思考力も筋トレのように身につけるべき

私は筋トレをしています。ちゃんとトレーニングしていると、確実に筋肉がつきます。トレーナーの方も「筋肉は裏切りません!」と言っています。思考も筋肉と同じようにトレーニングが必要で、日頃から訓練することで確実に思考力が醸成できます。

その方法を8つ紹介します。

①意識的に時間を設ける……調べる前に、自分なりの答えを考える時間を意識的に設けることで思考力が培えます。例えば、何か疑問に思ったときにすぐにインターネットで検索するのではなく、まずは自分で考えてみましょう。

②日記をつける……毎日の出来事や学んだこと、感じたことをどこかに書き留めることで、自分の考えを整理し、深めることができます。また、自己反省や問題解決の過程を記録することで、思考のパターンを把握し、改善する手がかりにもなります。

③ディスカッションを行う……その日に起こったことや見聞きしたこと、最近のニュースの中で自分が興味・関心のあるトピックについて、友人や家族と話し合うことで、多様な視点から物事を考える機会が得られます。他人の意見を聞くことで、自分の考えを再評価し、新たな視点を獲得できます。

④本を読む……さまざまなジャンルの本を読むことで、知識を広げると同時に、著者の考え方や論理的思考を学ぶことができます。ただ読むのではなく、読んだあとに、その内容について自分なりの意見を持つことが、考える力を養う上で有効です。

⑤問題解決の練習をする……日常生活で直面する小さな問題から始めて、解決策を自分で考える練習をします。例えば、時間管理の問題や、家庭内での小さな課題を解決することがおすすめです。

⑥それは本当かと疑う……疑いながらも、事実と意見を区別する、根拠に基づいて評価する、論理的な誤りを指摘することを意識します。「それって本当?」と問いかけることで、より深く、論理的に考えることができるようになります。

⑦新しいことに挑戦する……新しい趣味やスキルを得ることで脳を活性化させ、思考の柔軟性を高めます。未知の分野に挑戦することで、問題解決のための新しい方法や考え方を見つけることができます。

⑧自分とは違う価値観の人とあえて話をする……同じ価値観の人とばかり話をしていると思考が偏ります。あえて違う人と話し、そんな見方や考え方もあるんだな、と違う角度からものを見ることで考える力を醸成することができます。

ちなみに、私は、初対面で何の情報もない方に対しても、10分ほど話せばその方が抱えている課題や悩み、今いる環境が手に取るようにわかるようになります。企業から相談を受けるときも同じで、少し話すだけで会社の強みや商品の特徴、現在抱えている問題について、そこにいる人の誰よりも説明ができるようになるのです。

岡佐紀子『正しい答えを導くための疑う思考』(かんき出版)
岡佐紀子『正しい答えを導くための疑う思考』(かんき出版)

私が的確に状況を説明できるようになるので、「岡さん(著者)は見たことがあるんですか?」といつも驚かれます。

ですが、目の前にない状況を把握することや、今抱えている問題に対して説明することは、少しのトレーニングを積むことで、誰でもできるようになります。

考える力があれば今いる部署の問題点を解決して、より良い部署にすることも、新しいサービスや商品を企画することも、自分のスキルを伸ばすことも、できてしまいます。

その考えるスキルの1つが、本書(『正しい答えを導くための疑う思考』)のテーマである「疑う思考」です。

岡 佐紀子(おか・さきこ)
オフィスブルーム 代表取締役、問題解決コンサルタント、デール・カーネギー・トレーナー

大手IT企業を経て26歳で起業。ITに特化した派遣事業、システム開発、コールセンターの運営に携わりながら、近畿大学経営学部で非常勤講師として11年間教鞭をとり、大学ではITスキルやコミュニケーションスキルについての知識を提供する。2006年に教育業に力を入れるために分社し、株式会社オフィスブルームを設立。20年にわたる講師経験を有し、年間200回を超えるペースで研修・講演活動を展開。数万人のビジネスパーソンに対し、眠らせず、参加を促すダイナミックな研修スタイルで高い評価を得ている。主な著書に『人を動かすコミュニケーション力を身につける』(ギャラクシー出版)がある。