婚活に悩む女性がよく言うフレーズのひとつが「いい人なのに、好きになれない」だそうだ。アラフォー・アラフィフ専門婚活カウンセラーの伊藤友美さんいわく「人柄、条件ともに良く、相手からの好意を感じる場合、好きになれない方が悪いのではと、自分を責め婚活うつに陥る女性は少なくない。しかし、結婚はそもそも生理的なもの。そもそも、一緒に幸せになれる相手を探すのが『婚活』であることを忘れないでほしい」という――。
向かい合って一緒にコーヒーを飲む男女
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「いい人」なのに好きになれない

婚活沼とは、結婚すると決断しないままずるずると婚活し続け、異性との間に起こる現実に一喜一憂する状況を指す。

婚活沼にハマってしまう理由は人によってさまざまだが、「好きになれない相手なのにきっぱり断れず、ずるずると会い続けてしまう」というのはよくあるケースのひとつ。

生理的には「合わないかも」とうすうす感じているのに、結婚相手としての条件は満たしており、自分に好意を寄せてくれている……。客観的に判断すれば「いいお相手」であればあるほど、断りづらく、ずるずると会い続けてしまう。今回は、そんな相手との関係を断ち切れずに悩んでいた婚活女性のエピソードを紹介する。

※プライバシーに考慮して、事実関係の一部を変更しています。あらかじめご了承ください。

「結婚相手にそんなことは言っていられない」

A子さんは、金融機関に勤める35歳。30代になり、知人や友人が次々と結婚していくのを見て焦りを覚えたのが、結婚を意識したきっかけ。そこで、結婚相談所に入会したという。30代前半で登録したA子さんはお見合いの相手に困ることがなく、お断りしても、また、時には断られても、次々と新しいお相手を紹介してもらえた。しかし、なかなか「この人だ!」と思える人には出会えずにいたという。

そうこうしているうちに、A子さんは35歳の誕生日を迎えた。その頃に紹介されたのが、出版社に勤務する3歳上の男性。年収は申し分なく、食事をすればいつもご馳走してくれる。映画や美術鑑賞などの趣味も合い、お店選びのセンスも悪くない。なんといっても、明らかにA子さんに好意を抱いてくれていた。会えば、「今度はどこへ行きましょうか」と次の約束をしてくれるし、連絡もマメにくれる。「この人となら、このまま結婚できるかもしれない」とA子さんの気持ちは結婚に前のめりになっていた。

しかし、大きな問題があった。それは、A子さんが彼のことを好きになれないということだ。まず、ルックスが好みではない。A子さんは背の高いワイルドなタイプが好きなのだが、彼は小柄で線が細いタイプだった。でも、「結婚相手にそんなことは言っていられない。大事なのは人柄だ」とA子さんは自分に言い聞かせた。彼の素朴な人柄には好感が持てる。

彼が婚活をしていることは職場の人たちも知っていて、みんなが「がんばれ」と応援してくれているという。お店選びの相談にも乗ってくれるそうだ。このエピソードからも、彼が周りの人たちが応援したくなる「いい人」であることが伝わる。それなのに、いや、だからこそなのか、心はときめかない。

「いまひとつ気は乗らないが、断る理由もない」という心境のまま、A子さんは彼と食事に行ったり、映画を観たりしてデートを重ねた。5回目のデートでは、「車で少し遠出をして、海を見にいきましょう」という話になった。