ミクロのレベルの摩擦に企業がもっと気づくべき
【エミン】いま論争になっているのは、パトリックさんがおっしゃるようなマクロ的な制度の話ではなく、ミクロレベルでの日本の働き方や文化に根付いている問題だと思う。
大きな仕組みとしての制度で、子育てを支援することに関しては誰も文句は言っていない。おそらくもっとミクロなレベルで摩擦が起きていると思う。これはもう日本企業の考え方やマネジメントが単純に悪いと思う。もしくは会社の仕組みがこうした事態を想定してない、それが根本的な問題じゃないかな。
――エミンさんがおっしゃる摩擦は日本特有のものでしょうか。欧米では起きにくいのでしょうか。
【エミン】どこでも起きると思うけど、問題はその人の努力に合わせて給料を支払っていないことだと思う。誰かのカバーをするなら、プラスアルファで何らかの補償を会社はすべきです。それがあれば文句は出ないと思う。
これだけ大々的に問題になっているということは、個々の企業で対応できてない、もしくは日本の企業の頭の中がそうなっていない。だから、そもそも論として、みんなが「なぜそんなことをしなければいけないのか」が理解できてないと思う。そこに問題があります。
早く帰るのに給料は同じ。そこに問題がある
――子どもが発熱して、周りの人に仕事を丸投げしてすぐ帰ってしまうような場合に不満がでているようですが、その不満に企業が対応できていないということでしょうか。
【エミン】そうした小さなシチュエーションの問題です。休暇を取るのであれば制度として動くけど、突然「今日は早く帰らなければいけない」とか「朝は早く来られない」とか、そうした積み重ねがすごく不満を生んでいると思う。
【パックン】そうですね。
【エミン】僕が会社員だった時代はものすごく残業があった時代だから、1カ月に100時間は当たり前、それは給料に織り込まれていました。そのときに、ある人が2時間遅れて出社する、子どもがいるから仕方ないと。
夜も僕たちは7時、8時までは会社にいるのに、その人は5時に帰ってしまう。それで給料は変わらない。これはどう考えても不公平だと。さらに言えば、みんなで支えましょうと言われても、旦那さんも働いている。彼は私たちよりもいい給料もらっているのに、なぜ私たちにその夫婦の子どものしわ寄せがこなければいけないのか。
旦那さんが時間をずらして早く出社し、早く退社して子どもの面倒をみればいい。なぜ私たちがみなければいけないのか、と。