働く側が働き方を選ぶ時代

昭和期の会社といえば、「60歳でサヨウナラ」という設計でした。しかし今や、大企業でも50代の比率が高く、その人たち全員が辞めてしまったら、事業が立ちゆきません。だからといって全員に残ってもらうわけにもいきませんので、「みんな自分自身で選択してね」という時代に変わりつつあります。そのうえで、お互いにウィンウィンなら一緒に働こうという方向性に移行しています。

ビジネスマン
写真=iStock.com/Yuto photographer
※写真はイメージです

そんな中で、役職定年をなくしたり、定年を引き上げたり、もしくは定年制度自体をやめたりしている会社も出てきましたが、まだまだ踏み切れていない会社も多くあります。

ですから働く側も、それを見極めて選ぶこと。

そういう時代になってきていますので、会社に「こんなことを訊いたら申し訳ないかな?」と思う必要は全くありません。定年後はストレスのない環境で働くことがいちばんですから、会社に気をつかわず、自分の希望する働き方や、やりたいことを会社に伝えましょう。聞いてみなければ、わざわざ検討してくれないケースも多いのです。どうせ終わりが来るなら、可能性を探る道を選びましょう。

繰り返しますが、定年後は「自分起点」にして、自分らしい人生の働き方、暮らし方に変えていく。先述したワーキンググランドマザーの方のように、新しい働き方をすることが少子高齢化社会に定年を迎えるご自身の使命だと思って、ぜひチャレンジしながら一日でも長く働き続けることを期待します。

構成=池田純子

大桃 綾子(おおもも・あやこ)
キャリアコンサルタント

1981年、新潟県生まれ。東京外国語大学(中国語)卒業、慶應義塾大学大学院社会学研究科修了。三井化学にて人事・事業企画に約10年従事。丸亀製麺を運営するトリドールホールディングスを経て、起業。Dialogue for Everyone 代表取締役。