「学生キャバクラ理論」で伝え方の順番を意識する
突然ですが、「学生キャバクラ理論」をご存知でしょうか?
「キャバクラで働く人が昼に大学で勉強している」と聞くと、「それは偉い」と感心する人が多く、「大学生が夜にキャバクラで働いている」と聞くと、「それはけしからん!」と叱る人が多い。
つまり、同じことを伝えるにしても、情報の順番で大きく左右するという話です。何かを依頼するときも、伝える情報の順番で印象は変わります。
「切り出し方が9割」といっても過言ではないくらい、出だしが重要です。
冒頭に挙げた依頼例も、こういう切り出し方をしてみるとどうでしょう?
「先週の資料ありがとう。役員会議で提出したらわかりやすいって評判で、またお願いできるかな? プロジェクトが承認されるかが懸かってる重要な書類で、この完成度でできるのが△△さんしかいないんだよ」
印象が大きく変わりませんか?
まずは受け入れやすい情報からスタートして、心を開いてもらうことが大切です。冒頭の依頼例と比較して、新しく入った重要な要素は、「意欲創出」と「目的の明確化」です。
声かけで依頼する相手の意欲を引き出せるかどうかが鍵
まずは、「意欲創出」。
「仕事を受ける側はすべての仕事を面倒と思っている」という前提からスタートしましよう。
「やってみよう」と思ってもらう意欲を、依頼する側がつくりだす必要があります。
そのためには、「感謝される」「褒められる」「自分しかできない特別感」の3つがポイントです。
先ほどの依頼例の中では、「ありがとう」「評判で」「△△さんしかできない」がそれらにあたります。
ここで、とある中堅の社員エピソードを一つご紹介します。
彼女は議事録を積極的に引き受けてくれていました。
議事録とは、会議中に話された要点をまとめて、取引先と合意内容を確認したり、参加できなかったチームメンバーにシェアするためのメモです。
面倒くさいし、会議中にメモすることに労力を取られるので、みんなやりたがらず、一番若手が担当させられることが多いものです。
ある日、「なんで自ら手を挙げるのか」と質問すると、彼女は「『議事録をとてもよく整理できている』と取引先から以前に褒められたことで、自分でも得意と感じている。また、後輩からも感謝されるから」と理由を説明してくれました。
まさに、褒められ、感謝され、自分しかできない、の3つのポイントが彼女の動機となっていました。