お礼状はその日のうちに送る

メールより手紙。フォント文字より手書き文字。デジタルよりアナログなど、ひと手間かけた方がよいとわかっているけど、人は面倒くさいものを避け、楽な方に流れていくものです。

でもそのちょっとした手間をかけると人の印象は激変します。

そんなひと手間のひとつに「お礼状(はがき)をその日のうちに送る」というものがあります。

営業は顔と名前を覚えてもらうことからすべてが始まります。

それにも関わらず、その顔と名前を思い出してもらう工夫をする営業はほとんどおりません。だからこそお礼状が効くのです。

私はこれまで30年近い営業生活を通じて何千通というお礼状を書き、ほぼ全員から「お礼状をもらったのは初めてです」と逆にお礼を言われました。また、その結果、相手の記憶の片隅に「礼節をわきまえたお礼状の人」という認識を持ってもらうことに成功できました。

字は汚くてもだいじょうぶです。私はミミズが這っているような字を書きますが、逆に「字が下手にも関わらずお礼状を書いてくれた」と喜ばれています。

名刺交換は何度もするものではありません。だからこそ一期一会の精神で最初の印象を大切にすべきです。

お礼状は、相手はもちろん、自分の心も気持ちよくしてくれますよ。

机の上に置かれた文書に署名する人
写真=iStock.com/nirat
※写真はイメージです

「考えタイム」と「作業タイム」に分ける

あなたは複数の仕事を一度にこなせる人ですか? それともひとつの仕事に集中しないと混乱する人ですか?

学術雑誌『Science』のレポートによると、「人間の脳が対応できるのは2つのタスク処理が限界である」とのこと。

人間の能力的には、マルチタスクは気が散りやすく、かえって集中力が下がってしまい、結果、中途半端になるとのことです。

そこでおすすめなのが「考えタイム」と「作業タイム」を分ける方法です。

後田良輔『今こそ使える昭和の仕事術 ビジネスマン30年生の経験がたった3分で身につく』(かんき出版)
後田良輔『今こそ使える昭和の仕事術 ビジネスマン30年生の経験がたった3分で身につく』(かんき出版)

一見、仕事が遅くなるように思えますが、ひとつのことに集中することで、まさに「急がば回れ」のことわざ通り、早く目的を達成できるようになります。

考えタイムでは、とにかく集中できるように環境を整えましょう。スマホの電源を切る。会議室にこもる。在宅勤務なら好きなアロマを焚いてリラックスするなどが有効です。

作業タイムでは、メールチェック10分、報告書作成30分、資料集め1時間などのように、TODOを書き出し、それに目標の完了時間を設定すると、より効果的に作業に取り組めます。

仕事を分けて取り組むと効率的になり、結果、あなたの時間が増えていきます。マルチタスクではえられない嬉しい効果が自分にかえってきますので、やらないのは損ですよ。

後田 良輔(うしろだ・りょうすけ)
大手広告代理店管理職

1972年生まれ。大手3大広告代理店に営業職として勤務し、「誰でも使える気配り術」を駆使する気配りのプロフェッショナル。特別丁寧に接しなければならない顧客との交流で磨かれたスキルと、「東京・名古屋・大阪」のビジネス三大都市で、実際に勤務して身につけたリアルな経験を組み合わせ、独自の「誰でも使える気配り術」を開発。その結果、飛び込み営業成功率72.6%、累計30億円以上の商談を獲得。『逆境を活かす! 就活面接「エモロジカル理論」2015年度版』(実務教育出版)、『落ちこぼれでも3秒で社内エースに変わる! ぶっちぎり理論38』、『気配りの正解』(ともに、ダイヤモンド社)、『ミスを最大のチャンスに変えるリカバリーの技術』(明日香出版社)などがある。