※本稿は、後田良輔『今こそ使える昭和の仕事術 ビジネスマン30年生の経験がたった3分で身につく』(かんき出版)の一部を再編集したものです。
仕事ができる人はスピード感がある
「時は金なり」とアメリカの政治家ベンジャミン・フランクリンが言ったように、時間とは貴重な資源であり、人はスピードの早さに魅力を感じる生き物です。
たとえば上司から企画書の提出を求められ、Aさんは即日対応、Bさんは3日で対応したとしたら、たとえ出来が悪くてもAさんの方が早いというだけで高い評価をえられます。まさにスピードの早さとは価値であり、すべてを制すと言っても過言ではありません。
またスピードの早さは、あなたにも次のようなメリットをもたらしてくれます。
・ 早く対応することで、人にアドバイスをもらう時間が増える
・ 早い=元気またはデキると思われる
・ 余った時間で他のことができるため、成長速度が加速する
早くやるだけで相手も喜び、また自分にもメリットがあるのでやらない理由がありません。
また早さは「人に頼む」「ツールを使う」など、自分以外を巻き込んでもOKなのも好ポイント。工夫を重ねればどんどん早く対応できるようになっていきます。
やり方がわからなければ、あなたの周りの仕事の早い人のマネからはじめてみましょう。
意識的に工夫を仕掛ければ、誰でも仕事が早くなり、あなたのファンも増えていきますよ。
3分で終わる仕事はすぐ片付ける
「何でこれくらいの仕事がまだできないの?」
これは上司やクライアントの頭に毎日よぎるセリフです。
ちょっとした雑用を上司やクライアントから振られることってありますよね。その際、3分くらいで終わる仕事ならすぐに処理しないと、失格と思われます。
なぜなら相手はあなたの仕事ぶりを見て、「○分でできる仕事」と計算しながら仕事を振っているからです。
インスタントラーメンは3分で美味しくなりますが、さらに3分寝かすと不味くなってしまいます。
これと同じように仕事においては、期待値より遅い対応をすると評価が下がり、逆にきちんと対応すると評価が上がります。
仕事が早いと言われる人はこのことを理解しており、3分以内で終わる仕事はすぐに取りかかるようにしています。
また雑用の依頼以外にも、書類のチェックやメールの返信、交通費の精算など、3分もあれば終わる仕事は山ほどあります。
これらを宿題にせずさっさとこなせば、自分の自由な時間がどんどん増えていきます。
たかが3分、されど3分。自分の能力と仕事の難易度の2つの軸で目の前の仕事を分析し、「何分で対応できるか?」と考えて、すぐに取り組む習慣を持ちましょう。
リスクは1秒でも早く開示する
「忘れていました」が言えなくて逮捕された旅行会社のサラリーマンがいました。
彼は高校の遠足で使うバスの入札に勝利したにもかかわらず、肝心のバスの手配をし忘れ、あろうことかそれを誰にも相談せずにミスを隠蔽。そして自ら生徒を装い、「遠足を中止にしなければ自殺する」という主旨の手紙を高校に届け、結果、逮捕されました。
自分ならこんな馬鹿なことはしないと思うかもしれませんが、リスクはあなたの周りにも潜んでいます。
発注忘れはもちろん、誤植・注文数の間違い・メールの誤送信・書類の紛失・取引先からのクレームなど、指摘されると自分の周りはリスクで溢れかえっていることに驚くと思います。
だからこそリスクを抱えた際は1秒でも早く開示し、会社や組織などのチームで対応するのが正解です。
「三人寄れば文殊の知恵」ということわざがあります。
文殊とは知恵をつかさどる菩薩様のこと。このことわざの通り、たとえ凡人であっても三人集まればリスクやトラブルを解決するよいアイデアが湧いてくるものです。
冒頭の逮捕されたサラリーマンも早く上司に相談していれば、きっと違う結果になっていたはずです。
リスクの開示&相談は、ビジネスパーソンの基本です。
リモート会議は冒頭で「相手のメリット」を話す
「リモート会議は内職の温床。話をきちんと聞いているとは限らない」
ファシリテーション上手のコンサルタントが教えてくれた言葉です。
彼女曰く、リモート会議は相手から見えないためマルチタスクを行う人が多数存在している。人によってはパソコン以外にもスマホで別の会議に入り、同時に2つの会議に出席する猛者もいるとのこと。あなた自身もなるほどと思うふしがあると思います。そこでおすすめしたいのが「リモート会議の冒頭は相手のメリットから話す」という方法です。
人は損を嫌う習性を持っています。だからこそ冒頭で自分のメリットの話をされると、聞き逃せないと思い、きちんと会議に出席してくれるようになります。
やり方は簡単。会議の冒頭で「この会議のゴールは○○を決めることです」と宣言するだけ。
○○には、売上会議であれば「予算達成の糸口」、企画会議であれば「プレゼンに勝つ方策」などの相手のメリットになる文言を入れてください。
メリットから話すことで参加者の意識が活発化し、損をしないためにきちんと会議に出席してくれるようになります。
「花より団子」ということわざがあるように、リモート会議は形式よりも、メリットという実利から入るのが正解なのです。
お礼状はその日のうちに送る
メールより手紙。フォント文字より手書き文字。デジタルよりアナログなど、ひと手間かけた方がよいとわかっているけど、人は面倒くさいものを避け、楽な方に流れていくものです。
でもそのちょっとした手間をかけると人の印象は激変します。
そんなひと手間のひとつに「お礼状(はがき)をその日のうちに送る」というものがあります。
営業は顔と名前を覚えてもらうことからすべてが始まります。
それにも関わらず、その顔と名前を思い出してもらう工夫をする営業はほとんどおりません。だからこそお礼状が効くのです。
私はこれまで30年近い営業生活を通じて何千通というお礼状を書き、ほぼ全員から「お礼状をもらったのは初めてです」と逆にお礼を言われました。また、その結果、相手の記憶の片隅に「礼節をわきまえたお礼状の人」という認識を持ってもらうことに成功できました。
字は汚くてもだいじょうぶです。私はミミズが這っているような字を書きますが、逆に「字が下手にも関わらずお礼状を書いてくれた」と喜ばれています。
名刺交換は何度もするものではありません。だからこそ一期一会の精神で最初の印象を大切にすべきです。
お礼状は、相手はもちろん、自分の心も気持ちよくしてくれますよ。
「考えタイム」と「作業タイム」に分ける
あなたは複数の仕事を一度にこなせる人ですか? それともひとつの仕事に集中しないと混乱する人ですか?
学術雑誌『Science』のレポートによると、「人間の脳が対応できるのは2つのタスク処理が限界である」とのこと。
人間の能力的には、マルチタスクは気が散りやすく、かえって集中力が下がってしまい、結果、中途半端になるとのことです。
そこでおすすめなのが「考えタイム」と「作業タイム」を分ける方法です。
一見、仕事が遅くなるように思えますが、ひとつのことに集中することで、まさに「急がば回れ」のことわざ通り、早く目的を達成できるようになります。
考えタイムでは、とにかく集中できるように環境を整えましょう。スマホの電源を切る。会議室にこもる。在宅勤務なら好きなアロマを焚いてリラックスするなどが有効です。
作業タイムでは、メールチェック10分、報告書作成30分、資料集め1時間などのように、TODOを書き出し、それに目標の完了時間を設定すると、より効果的に作業に取り組めます。
仕事を分けて取り組むと効率的になり、結果、あなたの時間が増えていきます。マルチタスクではえられない嬉しい効果が自分にかえってきますので、やらないのは損ですよ。