完済を目指すなら共働きが現実的な道

このような点を踏まえると、レンタル感覚で新しい車をいろいろと楽しみたいという、買い替え前提の方が、残クレ向きといえるでしょう。

では、話を畠山さんのケースに戻します。返済に重い負担を感じていた畠山さんですが、ディーラーローンを組んでしまったため、途中売却ができません。売却したい場合には、銀行ローンなどに借り換え、所有者を畠山さんに変更する必要があります。しかし、先程の説明通り、銀行ローンは審査が厳しいこともあり、借り換えの際には手数料も発生します。もし借り換えができないとなると、残りの道は、完済しかありません。今まさに、どちらの選択をするのか、銀行に手数料などを確認しているところですが、完済しかないとなった場合には、パートナーの方の体調や子育て状況を見ながら、共働きをしてもらうのがもっとも現実的な道ではないかと、お答えしました。

車の形をした白い紙を渡す女性の手
写真=iStock.com/mapo
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自動車ローン金額の目安は「手取りの1割」

では、畠山さんの自動車ローンにおける落とし穴はどこだったのでしょう? もし、銀行ローンの審査が通っていた場合で考えてみると、確かに金利は抑えられますが、金利が6%から3%になったとて、借入期間が5年の場合、月々にすると約4000円ほど下がる程度。私はやはり、購入金額が年収に対して大きすぎたのだと思います。

そもそも車は月々のローンのみならず、保険や車検、ガソリン代に駐車場代など、維持費がかさむもの。家計に占める固定費の割合を大きく跳ね上げる要因となるため、私は、マイカーをおすすめしないタイプなのです。

ただ、生活で絶対に車が欠かせないエリアもあります。その際、自動車ローンを組む目安としては、手取りの1割以内をめどに計画をしていただきたいと思います。そうすると、畠山さんの場合、月々の返済額が3万5000円を超えないローンであれば、許容範囲だったことになります。

賃貸にしろ購入にしろ、家という固定費がある中、さらにそこへ車も加わると、それだけで家計の約4割がなくなる計算です。購入時には、燃費の良さなどを念頭に、車種をしっかりと選ぶことと、ローンを組む際は、面倒でも、とにかく金利が安いものを選ぶことです。おすすめは、やはり組めるなら銀行ローンですね。

マイナス金利が解除されたことで、変動金利で自動車ローンを借りている場合は、今後、金利が上昇するかもしれません。利上げに対処できる余力を作ることも考えながら、上手な車との付き合い方を模索してください。

構成=小泉なつみ

高山 一恵(たかやま・かずえ)
Money&You 取締役/ファイナンシャルプランナー(CFPR)、1級FP技能士

慶應義塾大学卒業。2005年に女性向けFPオフィス、エフピーウーマンを設立。10年間取締役を務めたのち、現職へ。全国で講演・執筆活動・相談業務を行い女性の人生に不可欠なお金の知識を伝えている。著書は『はじめての新NISA&iDeCo』(成美堂出版)、『定年前後のお金の強化書』(きんざい)など多数。FP Cafe運営者。