どちらかの収入だけでもやっていける計画を

なかでも注意が必要なのが、先に触れた子どもがいない夫婦共働き世帯。共働き夫婦だと病気やケガ、勤務先のリストラや倒産などで収入が無くなったり、減ったりするリスクは二人分ある。どちらか一人の収入だとその人の収入減などのリスクは一人分だから、共働き世帯のリスクは2倍という考え方もできる。

片方の収入があれば何とかなるのではないかと思いがちだが、自己資金が少なく、目一杯の借入れを行っている世帯が多いで、どちらかの収入が無くなったりすれば、たちどころに返済が難しくなってしまうのではないだろうか。

それだけに、これからの時代、住宅価格の下落や住宅ローン金利の上昇を念頭に置いて、従来以上に慎重な資金計画を立ててマイホームを購入する必要がある。

なかなか簡単なことではないだろうが、あまり無理して借り入れるのではなく、どちらかの収入だけになっても返済できるような、ゆとりある資金計画が必要だろう。そのためには、予算を見直す、購入エリアを変えてみるといった発想の転換が必要かもしれない。

住宅価格下落はマイホーム取得のチャンスかも

最近は、価格が高くなり過ぎているため、購入を諦め、賃貸住まいでいいと考える人が増えているといわれるが、それでいいのだろうか。マイホームを諦めて賃貸生活を続けていると、いつまでもマイホームを持てないので、リタイア後も高い賃料を負担しなければならなくなる。

逆に、住宅価格の下落は、購入にとってはチャンスのときかもしれない。金利が上がって、返済負担が増えるにしても、シッカリと自己資金を用意して、借入額を少なくすれば、金利上昇分を相殺して、少ない負担で購入できるようになるはずだ。

どこまで価格が下がるのか、市場動向を見極めながら、一方で金利などを睨んで、購入のタイミングをはかっていただきたいところだ。

山下 和之(やました・かずゆき)
住宅ジャーナリスト

1952年生まれ。住宅・不動産分野を中心に新聞・雑誌・単行本の取材、執筆、講演、セミナー講師など幅広く活動。著書に『2017-2018年度版 住宅ローン相談ハンドブック』『よくわかる不動産業界』など。