不安払拭は必要不可欠
そこで有効なのが内定通知書からの入社承諾書、誓約書等の書類提出です。これらの書類はきちんと期限を設けて提出させることが大事です。
期限内に出せない主な理由が、「他社と天秤にかけているから」「貴社で働くのはまだ不安があるから」であれば、それらを払拭する説明や取り組みが必要でしょう。
応募者にとっては、自分の人生を左右する就職・転職ですから、思い悩むことはたくさんあります。そこで、「当社で働くことについて不安に思うことがあれば、いつでも相談してください」と、胸襟を開いた対応をしましょう。これは内定出しのタイミングで話した上で、書類提出の期限が迫ってきているのに未着な場合に、アラート的な意味合いで伝えておきます。
なお、ここまで親切丁寧に対応したにも関わらず、何らかの理由をつけるなどで期限内に出さない場合は、保留せずにお見送りすべきと筆者は考えます。
定着に有効な「メンター制」
就業経験がある人であっても、新しい職場環境には簡単にはなじめないものです。
そこでぜひ取り入れてほしいのが、メンター制です。
これは簡単に言うと、直属の上司や先輩とは別の社員が、新入社員の面倒を見ていくという制度です。年齢の近い、社歴が近い先輩社員で、面倒見の良い、話がしやすいタイプの人が適任と言えます。
新入社員にとっては、不安や悩みを気軽に相談でき、新しい職場にフィットするスピードが速くなるメリットが、メンター役を任される先輩社員にはコミュニケーションスキルが向上し、仕事、職場に対する責任感が強くなるメリットがあります。
一方デメリットとしては、お互いの相性が悪いと逆効果となり、最悪の場合、早期離職となってしまいます。そこで2人に任せっきりではなく、会社側にも体制づくりが必要になります。
「新しい社員の面倒を見て」という感覚で
「メンター役を任せるなら、まずその教育が必要不可欠」などと難しく構えないで、「新しい社員の面倒を見てあげてくれ!」といった感じで大丈夫です。
入社直後は週1回ペースで定期的な振り返りをしつつ、何か困ったことがあったら随時相談も受け付ける、というスタンスで、まずは始めてみてください。
会社側としては、2人を温かく見守ってあげて、何かあったらどちらからでも報連相してもらう体制をつくっておきましょう。
この制度は新入社員の定着が主目的ですので、半年から1年くらいが適当だと思います。
メンター役の社員は負担が増えるため、それを補う「メンター手当」を支給する会社もあります。メンターが不平不満を抱いて退職したら、それこそ意味がないので、検討してみてください。