意識して参照点を低くする
人間というのは、常により良い環境を求めがちです。
その分、参照点もどんどん上がっていく傾向にありますが、普段からそれを自覚している人は多くありません。自分でも気づかないうちに、要求するものがどんどん高くなっていくのです。
ですから、参照点を低くしておくことが幸せな老後を送るコツなのですが、60代や70代になってそうしようと決めても、なかなか急に変えることはできません。
50代頃になったら、日頃から意識して参照点を低くすることを心がけると良いでしょう。
「もうそろそろ、上を目指さなくてもいいか」
「これくらいで満足しておこう」
「これだけできたんだから、まあ良しとしよう」
普段からこうした意識で過ごすことで、たとえできないことが生じてきても、自分を情けないと感じることもなくなるはずです。
また、生活のなかの小さな喜びや幸せを存分に味わって生きるのも大事です。
私たちは永遠に生きられるわけではないのだから、人生の後半は好きでもない人と一緒に過ごす時間や、無理をして楽しくないことをする時間はありません。
それより、好きな人と一緒に楽しい時間を過ごすとか、好きなラーメンを食べて「美味いなあ」としみじみ思う、そういう喜びを感じながら残された時間を幸せに生きることが大事だと思うのです。
バブル世代と貧乏くじ世代の違い
今の40代後半や50代前半などの世代は「貧乏くじ世代」などとも呼ばれています。
バブル崩壊後の就職氷河期に厳しい現実を目の当たりにし、その後の長い景気低迷によって給料はなかなか上がらず、常に人手不足で長時間労働は当たり前、これからの日本の先行きもどうなるかはわからない……。このように考えると悲観的になりますが、発想を変えてみれば、違う一面も見えてきます。
バブル時代に贅沢をしてきた世代には回転寿司に抵抗があるという人もいますが、今、50代以下の人はそんなことは言っていられなかったわけです。
逆に言えば、上のバブル世代に比べて、貧しくてもやっていけるメンタリティがあるということです。バブル世代よりも参照点が低い分、目の前の現実に価値を感じやすいとも言えるでしょう。