職場で顔を合わす彼を忘れられない

決断したE美さんだったが、困ったのはここからだ。それからも彼のことが忘れられなかった。忘れたくても、同じ職場で毎日顔を合わせるから、忘れられないのだ。

しかも、彼は以前と変わらずE美さんに親しげに接してくる。残業をしていると「コーヒー買いに行くけど、一緒にどう?」と声をかけてきたり、帰りに「軽く飲んでいかない?」と誘ったり。つい誘いに乗ってしまうこともあり、そのたびにE美さんはモヤモヤした思いを私へのメールにぶつけてくる。

パブでビールで乾杯するカップルのクローズアップ
写真=iStock.com/Drazen Zigic
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「彼をふっきれない自分が情けないです」「もう連絡をするのはやめようと思っているのに、ついLINEをしてしまいます」「一緒にいると楽しいけれど、ひとりになるとさみしくて耐えられないんです」

そんなある夜、E美さんは事務所で残業をしていた。同じく残業をしていた彼が「お先に失礼します」と席を立ったとき、E美さんの心にざわりとした予感がよぎった。その日は、例の後輩女性の誕生日だったのだ。

E美さんは仕事を中断して、ビルの従業員出口を見下ろすことができる窓辺へ急いだ。想像したとおり、彼と後輩女性が2人で出てくるのが見えた。

「忘れようと決めたのに、未練がましく2人のことを監視するなんて……」とE美さんは激しく自分に落ち込んでいた。そして次のように気持ちを話してくれた。

「考えないようにしようと思っても、どうしても考えてしまうんです。……彼は私とは付き合えないと言ったけれど、彼女とは付き合っているんじゃないかとか。私の何が足りなかったんだろうとか。彼女の方が若いからかな、とか……」「こんなことでは、婚活がうまくいくはずがないですよね。私には結婚なんて、一生できないかもしれませんね」

元カレを忘れる5つのステップ

子どもの頃から勉強がよくできたE美さん。

彼女は努力の末、弁護士というなりたい職業に就いた。友達にも恵まれているし、職場では上司とも同僚とも良好な関係だ。

ところが、「恋愛だけが、思うようにいかないんです」と語る。

勉強や仕事は、自分さえがんばれば成果を出すことができる。うまくいかないときも、その原因を分析すれば、次に生かすことができる。

しかし、恋愛は相手がいることなので、自分ひとりががんばったからといってうまくいくとは限らない。むしろ、がんばればがんばるほど逆効果になることすらある。恋愛や結婚は、そもそも理不尽なものなのだ。

E美さんは、「結婚をしたい」と望んでいる。それであれば、実らなかった恋を分析したり、自分の行動を反省したりする必要はない。

私がE美さんにアドバイスした、「元カレの忘れ方」5つのステップは以下だ。

1.物理的に距離を置く

連絡を絶ち、会わないのがいちばん。E美さんのように職場が同じなら、異動願いを出したり、転職を考えたりしてもいい。失恋を転機に変えるのだ。

2.傷ついている自分の心を癒やす

まじめな人ほど体調を崩すなどしないかぎり会社を休んだことはないかもしれないが、会社を休んで好きな場所を訪れたり、見知らぬ土地へ旅行をしたり、好みの映画を観たりしてみよう。自分に優しくするなら、と考えたときに浮かんだことを実行してみよう。

3.つらい感情を出しきる「ビリビリワーク」をする

彼に対する怒りや失恋の悲しみを表に出す。もちろん泣いてもいい。誰かに聞いてもらってもいいし、紙に書き出してもいい。次項で紹介する「ビリビリワーク」もおすすめだ。