家事は家電がやってくれる…男性にとっても結婚の価値は低下

【権丈】もうひとつ、男女の両方の選択に与える要因として、家事労働のイノベーションがあります。家庭用電化製品の電気洗濯機、電気冷蔵庫、電気掃除機、電子レンジ……これらの登場と普及が、家事労働をいかに軽減させたか。こうした製品がなかったときは、家事労働はかなりの時間と労力を要する重労働であったわけです。それが、今はまったく違う状況になっていて、女性だけでなく男性のほうから見ても、結婚というライフイベントの価値は低くなっているのではないでしょうか。

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30代前半未婚女性の4割が性体験なし

【海老原】女性が解放・平等化されたというのは大いに納得できます。が、だから「好き好んで」独身でいるとは思えないのです。昨今の調査を見てみるとよくわかります。30代未婚女性のうち「独身でいい」は2割で、7割強は「いつか結婚したい」と考えていますから。ちょっと下世話な話ですが、30代前半未婚女性の4割が性体験を持たず、現在彼氏がいない人が4人に3人、同棲経験ありは9人に1人、現在同棲中は1%ですもの。つまり「恋愛も同棲も色々経験したけど独身がいい」というのではなく、「そもそも出会う機会も付き合いも少ない」というのが現実でしょう。

確かに現在は、自由・平等です。でも、女性は大いに忙しくもなりました。戦前は就学期間が短く14歳で社会に出た。30歳までに16年もありました。昭和の頃は高卒が主で、18歳で社会に出たから、30歳までに12年ありました。現在は、女性でも四大卒が主流となり、30歳までの期間はたった8年。しかも、社会に出たら男性と同等に仕事を覚えて出世競争となる。こんな環境なのに、30歳になると「もう出産は厳しい」「賞味期限切れ」と言われるんだから、未婚率が上がるのもむべなるかな、でしょう。

【図表6】昔ほど、30歳までの余裕がない!