住宅ローンと投資の両立が許される人の条件

住宅ローンと投資を両立できる人は、一部に限られる。最も分かりやすいのは、すでに、「余裕資金が住宅ローンの残高よりも多い」という人だ。これなら、投資がうまくいかなくても、ローン破綻をすることはない。変動金利で借りておいて、手元に現金を残し、それで高配当株などに投資をして利益を得る、という人は実際にいる。

くれぐれも、これを極端なケースだと思わないでほしい。こういう、誰の目にも明らかなほど恵まれた環境にある人以外はやってはダメ、というほどリスクは高いのである。

繰り上げ返済資金を「個人向け国債」で貯めておく手も

日銀の利上げで、金利上昇期に入った可能性は極めて高い。これまで述べたように、住宅ローンだけでなく、ローンと名の付くものは早期の返済を目指すのがセオリーだ。しかし、変動金利で、まだ住宅ローン減税を受けられる期間が残っている人は、打つ手がある。

それは、「個人向け国債」の活用だ。繰り上げ返済用の資金を、たんに貯金に回して備えるだけでは、いかにももったいない。個人向け国債などで貯めておき、住宅ローン減税の期間終了時に、まとめて繰り上げ返済に充てるのがよいだろう。

ソファに座り、スマホで株価のチェックをしている女性
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特に、個人向け国債の「変動10」は、5月募集分の利率は0.57%(税引前)で、20%の税金を引かれても変動金利より高くなるケースが多いはず。しかも「変動10」は、市場金利の上昇に応じて利率が変わるので、今後、10年物国債の金利が上がれば、それに連動する可能性が高い。

解約はいつでもできるが、満期の10年が来る前に解約してしまうと、直近2回分の利息が無くなる点には注意が必要。それでも、元本割れはせず、当面、短期金利よりも長期金利の上昇幅のほうが上回ると想定されるので、預貯金よりはるかに有利だ。満期5年で利率が固定されている「固定5」の利率も0.45%(税引前/5月分)となっている。なお、売り切れが発生しやすい商品なので、そこも注意したい。

そして、もし減税期間が終わる前に、変動金利が0.7%以上に引き上げられる事態になれば、躊躇なく、返済優先に切り替えるべきだ。