ローン借り入れと投資の両立は非常にマズい発想
現状、住信SBIのように、短期プライムレートの引き上げに追随する銀行は出ていない。しかし、日銀の追加利上げの可能性が出ている以上、これまでと同じように超低金利が続くとは考えないほうがよいだろう。
最近、特にマズいと思われるのが、「住宅ローンを借りていながら投資をする」という考え方。ネット記事やSNSなどで散見されるが、これは、超低金利に慣れてしまった発想といえよう。住宅ローンの借り入れとNISAなどでの投資を両立しても許されるのは、条件を備えた一部の人に限られる。ほとんどの人は、住宅ローンの返済を最優先にすべきだ。以下、その理由を説明したい。
「ローン返済よりも有利な投資はない」がセオリー
まずは、ローン(貸付金)に対する基本的な考え方を述べておこう。これまで述べてきたように、金利は、日銀の政策金利や、金融市場における金融機関同士の取引によって決まる。そして、金融機関が企業や個人にお金を貸し出すときの金利とは、「リスク」と「期待リターン」から金融市場で決められた金利(市場金利)に、利益を上乗せしている(そうでなければ事業として成立しない)。
すると、住宅ローンの繰り上げ返済とは、「市場金利+金融機関の利益分の金利」を返済することになる。ここで、繰り上げ返済を1つの金融商品としてみれば、個人は市場金利よりも有利な金利で資産運用ができることになる。通常、このような金融商品はまず無い。つまり、「ローン返済よりも有利な投資はない」というのがセオリーなのだ(専門用語を使うと、「資本資産評価モデルで導かれる証券市場線よりも上に位置する金融商品は極めて少ない」となる)。