「習い事で就寝時間が遅れる」という悩み

――習い事を平日に入れると、寝る時間がどうしても後ろ倒しになってしまうのですが、そのあたりはどう考えればいいのでしょうか?

【森戸】うーん……以前にも聞かれたことがあるんですけれども、「中学受験をするので、小学生が9時まで塾で、そのあとお風呂に入って学校の宿題をやって寝ると、本当に睡眠時間が少なくなってしまって、どうしたらいいでしょう?」と。

それはご家庭ごとに何を大事にするかだと思います。たとえば「受験前の1年間だけだから、別の時に睡眠を取るようにしてがんばらせよう、そのあとの人生につながるから」という考え方もあるでしょうし、「小さいうちに色々習い事するよりも、早寝早起きで長い睡眠時間を確保したほうがいい、子どもは子どもらしく過ごしたほうがいい」というご家庭もあるかもしれないし。一概にはいえないですね……。

本人がやりたくないのにそこまでやらせて寝不足でとなると、何のためにそうしているのかと思えますし、やりたいんだったらやらせてあげたいし。

勉強している子供の手
写真=iStock.com/Hakase_
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――本人の納得感も大事にしてあげたいですね。

【森戸】そうです。

――各家庭でよりベストな形や、その子にとって理想的な睡眠時間を模索していくのがよさそうですね。森戸先生に示していただいた考え方は、きっと多くの保護者の不必要なプレッシャーを取り除くことと思います。ありがとうございました。

森戸 やすみ(もりと・やすみ)
小児科専門医

1971年、東京生まれ。一般小児科、NICU(新生児特定集中治療室)などを経て、現在は東京都内で開業。医療者と非医療者の架け橋となる記事や本を書いていきたいと思っている。『新装版 小児科医ママの「育児の不安」解決BOOK』『小児科医ママとパパのやさしい予防接種BOOK』など著書多数。

武藤 弘樹(むとう・こうき)
ライター、ミュージシャン

早稲田大学第一文学部卒。広告代理店社員、トラック運転手、築地市場内の魚介類卸売店勤務などさまざまな職歴を重ね、現在はライターとミュージシャンとして活動。