結局、何時間寝かせればいいのか
――では子どもの毎日の睡眠時間に関して、お昼寝も含めてトータルで「何時間寝たほうがいい」といった指標はあるのでしょうか?
【森戸】アンケートはあるんですけど、それぞれの子どもの適性がどれくらいかというのはわからないんですよね。
――なるほど。個人によって違うということですね。
【森戸】そうですね。個人差もあるし、あと文化差とか人種の差って大きいんですよ。世界中の子どもの睡眠についてアジア人が多い国と白人が多い国を調査したところ、ニュージーランドの子どもが一番よく寝ていて13時間以上、東アジアの子はあまり寝なくて、日本が最下位で11時間台でした。
でもニュージーランドやヨーロッパの子たちって親と別室で寝る習慣があるので、親は子どもが寝たと思っているけど子どもは実はベッドの中で起きている……かもしれないので、調査結果と実情にいくらかズレが生じている可能性はあります。
睡眠の専門家の神山潤先生が書いた本に、「翌日の午前中に子どもが機嫌よく起きていられたら睡眠不足はないでしょう」とあります。それが信頼できる基準だと思います。
――なるほど。それはわかりやすい判断基準ですね。
【森戸】だから大人でもショートスリーパーや、反対に「長く寝ないとダメだ」という人がいるように、子どもでもそんなに寝る必要がないお子さんもいるんでしょうし。だけれども、翌日午前中に機嫌よく起きていられるなら、それはその子にとって充分なんでしょう、ということです。
子どもを見ながら判断していけばいい
――では「子どもだから○時間寝なくちゃいけない」と決め込むのはあまりよろしくないのかもしれませんね。それが保護者のプレッシャーになることもあるだろうし。
【森戸】そうですね。「寝ないと子どもがとんでもないことになってしまうのではないか」という不安が、保護者の方にはあるのだと思うんですね。
たしかに、短すぎる睡眠はよくないんですよ。肥満につながったり、お友達に暴力をふるうなどの困った行動・問題行動につながったりする可能性はあるんですけど、「何時間寝たらそれが予防できる」と一概に言えるものでもないので、その子にとってその睡眠時間が充分だったらそれでいいのです。
――なるほど。子どもの様子を見ながら適切な睡眠時間を探っていくのですね。
【森戸】そうです。「なんかどうも機嫌が悪いから今日は早く寝かせなきゃ」とか、お子さんを見て判断すればいいかと思います。