人生は目的が9割

【編集部】けれど金欠の状況では、お金が減ってしまっても大丈夫か不安になり、なかなか使えません。

【小川】もちろん生活が厳しいときは、“今の状況を改善する”ために、お金を貯める必要があります。そこで焦ってしまうのは、「この年齢ならこれくらい貯金がなきゃ」「あの人には勝たなきゃ」と他人と比べているから。人生は橋造り競争ではなくて、最終目的地への橋を架けること。自分の夢をかなえる自分のプロジェクトですから、自分のペースで1円でも貯めて前にさえ進めばいい。

さわぐちけいすけ・小川仁志『哲学を知ったら生きやすくなった』(日経BP)
さわぐちけいすけ・小川仁志『哲学を知ったら生きやすくなった』(日経BP)

【編集部】お金を貯めることに執着して、お金を使うことに罪悪感を覚える人もいます。一方で、衝動買いや浪費がやめられない人も。

【小川】そもそも「これだけ貯めれば幸せになれる」というゴールはありません。増えることだけに快感を覚えて、いくら貯めても満たされない状態は、ギャンブルと一緒です。

衝動買いも、目的を持たずに刹那的に目の前の欲求を満たしているだけですから、実は、むやみに貯めている人と同じでしょう。

【編集部】やはり、目的を持つことが一番重要ですね。

【小川】株式投資などで桁外れに儲けていても、目的がない人は、どこか退屈そうであまり魅力的には見えないでしょう。哲学を通してお金のことを知れば、逆に「人生もったいないな」と感じるかもしれません。人生は目的が9割。自分にとっての最終目的地はどこなのか、改めて考えてみてください。

さわぐち けいすけ(さわぐち・けいすけ)
漫画家

2017年から漫画家として活動。社会に生きる人々の心境を描く書籍制作の依頼を手掛け、SNSの中ではPR漫画やオリジナル漫画などを制作し投稿。Xフォロワー19万人。主な著書に『哲学を知ったら生きやすくなった』(日経BP)、『偶発的ルネッサンス少女』(朝日新聞出版)、『経営理論をガチであてはめてみたら自分のちょっとした努力って間違ってなかった』(日経BP)、『だからお前はダメなんだ』(大和書房)、『僕たちはもう帰りたい』(ライツ社)など。

小川 仁志(おがわ・ひとし)
山口大学国際総合科学部教授

京都府生まれ。京都大学法学部卒業。名古屋市立大学大学院博士後期課程修了。伊藤忠商事勤務、フリーターの経歴を持つ。市民のための「哲学カフェ」を主宰。