「おひとりさま老後」のための資金作り
一生連れ添えると思って結婚したはずの相手と、さまざまな理由で離婚を考えるようになることはあり得ることです。100年と言われる長い人生を悔やんで終わらないためにも、仕切り直しを考えても良いのではないでしょうか。
とはいえ、生活していくにはお金の裏付けが不可欠。貧困に陥らないためにも計画的な資金準備や、役立つ情報収集が必要です。今回は離婚後の生活設計にかかわる、「おひとりさま老後」に向けての新NISA活用法を解説していきますので、老後資金作りの考え方の参考にしてください。
熟年離婚の割合は増えている
ご近所の誰々さんが離婚するらしいとか、友人の娘さんが離婚して帰ってきたようだとか、離婚にまつわる話題が会話にのぼることは少なくないでしょう。厚生労働省が2022年に公表した「離婚に関する統計」によると、1964年からほぼ右肩上がりで増えていた離婚件数ですが、2002年をピークに減少傾向にあり、2020年は約19万3000組となっています。
ところが、長く連れ添った夫婦の離婚は増えており、離婚全体のうち同居期間が20年以上の、いわゆる「熟年離婚」の割合は、1980年に7.7%だったのが2020年には21.5%と、約5分の1を占めています。2020年に離婚した夫婦のうち6108組は、同居期間が35年以上。熟年離婚はこれからも増えるのかもしれません。
おひとりさま高齢女性の4割が貧困
おひとりさま高齢女性は、経済的に厳しいのが現状です。厚生労働省の「国民生活基礎調査結果(2022年)」をもとに都立大の阿部彩教授が集計した結果によると、65歳以上のひとり暮らし女性の相対的貧困率は44.1%と、半数近くが貧困状態です。また、既婚の高齢女性の貧困率は13.5%なのに対し、未婚43.1%、離別43.6%、死別32.0%と、おひとりさまの貧困リスクは高い傾向にあります。
65歳以上の単身世帯の女性がもらっている公的年金の平均額は、148万5000円となっていますが、30%の人が100万円未満です(厚生労働省「年金制度基礎調査(2022年)」より計算)。世代的に専業主婦だった人が多いことや、働いていた人も女性の給料は男性より格段に低かったことが、自身の年金額が少ない要因です。
熟年離婚を決意している方は、まだ年金受給年齢になるまでに時間がありますから、こういった現状を知ったうえで老後資金準備に取り組んでいきましょう。