アメリカでも孤独・孤立に陥る人が増加

日本では孤独・孤立化が進展している可能性があるわけですが、最近の研究からアメリカでも同じ傾向があることがわかっています。

ロチェスター大学のヴィジ・ダイアン・カナン博士らの研究では、2003年から2020年までのAmerican Time Use Survey(ATUS)というデータを用い、アメリカ人の孤独・孤立の推移を分析しています(*6)

この分析の結果、アメリカ人は誰とも関わらない社会的に孤立した時間が持続的に増えており、この傾向はコロナウイルスの拡大によってさらに顕著になったことがわかりました。また同時に、家族、家族以外の人々、友人やその他地域の人々と過ごす時間も減少傾向にあることがわかりました。

アメリカでは確実に一人で過ごす時間が増えています。これは日本と同様であり、人々の孤独・孤立化は現代社会における一つのトレンドなのかもしれません。

孤独・孤立に陥る人はさらに増える

これまで見てきたとおり、日本では人付き合いが以前よりも希薄化しており、孤独・孤立に陥る人が増加している可能性があります。

そして、この傾向は今後さらに強まる恐れがあるのではないでしょうか。

理由として挙げられるのは、高齢化による独居世帯の増加と、未婚比率の増加です。図表2のデータが示すように、ご近所付き合いも持続的な低下傾向にある点も考慮すると、日本人の孤独・孤立化は今後も進展し続けていくと予想されます。

健康への大きなマイナスの影響がある点を考慮すると、この問題への対処は、現代社会における大きな課題の1つです。この課題に対して行政を中心にさまざまな試みがなされていますが、私たち個人としても「つながりの維持・向上」を意識していくことが重要でしょう。

ただ、新しく何かを始めたり、グループに入ったりするのは、やや億劫に感じてしまうかもしれません。そんな時は、学生時代や地元の友人と久しぶりに連絡をとってみることから始めるのはいかがでしょうか。あまり肩ひじ張らず、気軽な形でつながりを持つことが私たちの人生を豊かにするキッカケとなるかもしれません。

(*1)Holt-Lunstad J, Smith TB, Layton JB. Social relationships and mortality risk: a meta-analytic review. PLoS Med. 2010 Jul 27;7(7)
(*2)村山洋史(2018)『「つながり」と健康格差 なぜ夫と別れても妻は変わらず健康なのか』ポプラ社
(*3)ロバート・ウォールディンガー、マーク・シュルツ(2023)『グッド・ライフ 幸せになるのに、遅すぎることはない』辰巳出版
(*4)内閣官房(2023)「孤独・孤立の実態把握に関する全国調査(令和4年実施)
(*5)総務省統計局(2022)「人口推計(2022年(令和4年)10月1日現在)
(*6)Kannan VD, Veazie PJ. US trends in social isolation, social engagement, and companionship - nationally and by age, sex, race/ethnicity, family income, and work hours, 2003-2020. SSM Popul Health. 2022 

佐藤 一磨(さとう・かずま)
拓殖大学政経学部教授

1982年生まれ。慶応義塾大学商学部、同大学院商学研究科博士課程単位取得退学。博士(商学)。専門は労働経済学・家族の経済学。近年の主な研究成果として、(1)Relationship between marital status and body mass index in Japan. Rev Econ Household (2020). (2)Unhappy and Happy Obesity: A Comparative Study on the United States and China. J Happiness Stud 22, 1259–1285 (2021)、(3)Does marriage improve subjective health in Japan?. JER 71, 247–286 (2020)がある。