クタクタに煮込んだりジュースにすると効力が半減
【成田さん】野菜は、咀嚼にも関わるし腸の中でも適度な刺激になる。そして「栄養が濃すぎない」というところがいいところなんです。だから野菜は「栄養のために取る」ではなくて、「健康のために取る」と考えてほしいです。健康全般にいいので。栄養だけのことを考えると、野菜って意外と弱いんですよ。レバーや果物のほうが強い。
野菜関係の本を監修していて一番悩むのが、野菜って量の割に栄養があまりないというところなんですね。だけど大事なので、そこのニュアンスを伝えるのに苦労します。ただ、お腹の中を鍛えるのは野菜だということなんですね。
だから野菜を細かくしてクタクタに煮込んだり、野菜ジュースみたいにトロットロにしちゃうと、野菜が持つ大きな効能「内臓への適度な刺激」が失われてしまって、栄養だけ取ることになります。野菜の良さは栄養だけにあらず、消化管への適度な刺激が健康に役立っているということを、あわせて説明しています。
野菜ジュースの2つのリスク
――そういえば昔から疑問だったのですが、野菜ジュースって信用していいのでしょうか? おいしいのでよく飲むのですが、そんな簡単に栄養が摂取できるのは虫が良すぎる気がしていて、「実際は栄養はそこまで取れないけど健康に近づく」という幻想を買うつもりで飲んでいるのですが。
【成田さん】いやそんなことないんですよ。逆なんですよ。
――そうなんですか?
【成田さん】栄養に関しては取れるんだけど、気をつけなきゃいけない点が2つあります。1つは、今申し上げたような「野菜の効果は栄養だけではない」ということです。そしてもう1つが、「不必要なものも摂取してしまう」ということです。
まず、パッケージに書いてある栄養は大体入っています。たとえば「1日に必要なビタミンCの80%が入っている」と書いてあったら、そこに嘘はないんですよ。野菜は加熱したり加工したりで栄養が減るというのはあるんですけど、減ったことが勘案して書かれています。分析して足りなかったらリコールになっちゃいますし。だから入っている栄養素は、ある程度信用していいです。
ところが、いらないものも入ってきちゃうんですよね。おいしくするために糖分が多いんですよ。「砂糖無添加」って書いてあったりして、じゃあなんでそんなに甘いのかといったら果物由来の糖質が多いんですよね。砂糖じゃない甘味料を使っていることもあります。結局、あんなに飲みやすいのには理由がある。