子どもは蓄えられる栄養の量が少ない

――大人と子どもで、目安にするべき期間が違うのはなぜでしょうか? 子どもの期間の方が短いのにはどのような理由がありますか?

【成田さん】栄養を蓄えられる量が大人と子どもで違うからです。ちょっと食事からは話がずれるんですが、脱水状態が起こりやすいのって、高齢者と子どもなんですね。これはなぜかというと、筋肉量が少ないからです。筋肉の80%は水でできていて、体に水を蓄える貯水池のような役割を果たしています。

栄養を蓄えるのは肝臓で、子どもは大人に比べれば肝臓は小さく体重も軽い(筋肉が少ない)ので、相対的に栄養を蓄える量が少ない。しかも一回にたくさん食べられない。……なんですけど、子どもは成長期なので、成長のために多くの栄養を必要とします。ですので、子どもの場合は目安として、大人より短いスパンの3~4日で栄養バランスを考えてあげるのがいいです。たとえば揚げ物を食べる日があったら、3、4日間は揚げ物にはしないとか。

「肉・肉・魚……」といったメインの組み合わせや順番も、だいたいでいいんですよ。「メインになる、タンパク質を多く取れるものが1品あって――」というのが理想なんですけど、ない時があってもいいんですよ。じゃあその1品がなかった次の日の朝は「普段、朝はいい加減だけどしっかり食べさせてあげよう」とか。

栄養の偏った食事や不十分な食事が連続しないように配慮したい、というのは注意すべきポイントとしてあると思いますね。

給食を食べる小学生
写真=iStock.com/Milatas
※写真はイメージです

――なるほど。献立に変化をつけることで子どもも飽きずに食べてくれそうですね。

「おにぎりのもと」の意外な使い方

【成田さん】それでいうと、おにぎりのもとはオススメです。ご飯に混ぜて握るとおにぎりが完成するタイプのものですが、これをご飯に混ぜて、「混ぜご飯」と言って出せばいいんですよ。面倒くさいからおにぎりにしない(笑)。

――賢い(笑)。味もついているから子どもは嬉しいですね。栄養的には、たとえば「のりたま」は玉子として考えていいんですか?

【成田さん】いや、考えなくていいですよ。「ひと手間かけているフリ」ということですね。でも子どもとしては、いい加減なものを出された感は少なくて済む。「忙しい中で用意してくれた」って思ってもらえるかもしれないけど、実際は大したことはしていない。この場合は、栄養としてカウントするのではなく、子どもに対していかに“誠意”を示すか……ということですね。