3つの死角を回避する新NISAの有効活用法
それでは、それら死角を踏まえたうえで、新NISAでは、(とくに投資初心者は)どのように投資をすれば良いのでしょうか?
それは、「無理のない金額で、つみたて投資枠の対象商品を、積み立てる」です。
無理のない金額とは、「もし、なくなったとしても、家計(ライフプラン)に支障のない金額」のことで、より慎重に捉えるなら、「もし、なくなったとしても、心理的に耐えられる金額」のことです。
そんなお金などないよ、という人は、新NISAでの投資のために、節約や収入アップを意識してください。
それらで「捻出したお金(もともとは、なかったお金)」であれば、それはまさに、無理のない金額ですよね。
そして、つみたて投資枠の対象商品とは、前述の通り「長期の積立・分散投資に適した商品」として国が厳選した商品ゆえに、基本的にはリスクが低いタイプが多いので、とくに投資初心者にはお勧めです。
また、そのような商品をコツコツ積み立てること(時間分散)で、さらにリスクを抑えることができます。
もちろん、投資である以上、「絶対に損はしない」とは言えません。
しかし、この投資法によって、損失発生の可能性を相当低くすることはできるはずなので、1つ目の死角である「損をした場合、損益通算できない」は、極力回避することは期待できるでしょう。
パワーアップした非課税投資枠に惑わされない
そして、つみたて投資枠の対象商品に投資することから、おのずと、「長期の資産形成」が目的となります。
すなわち、頻繁に分配金を受け取ることや、短期的な変動を目的とはしないわけですから、2つ目の死角である「毎月分配型などには、投資できない」も気にすることもないでしょう。
あと、「無理のない金額」での投資を心がけることで、新NISAのパワーアップした非課税投資枠に惑わされずに、3つ目の死角である「多額の資金を投資してしまう」も回避できるはずです。
実際、これは多くの新NISA本などでも、「新NISA投資の基本・王道」として紹介されている投資法ですので、とくに、新NISAで投資デビューの方は、大いに参考になるかと思います。
拙著『はじめてでもカンタン! 新しいNISA超入門』でも、この投資法をお勧めしておりますので、参考にしてください。
1977年大阪府大阪狭山市生まれ。大阪市立大学文学部哲学科卒業後、尼崎信用金庫を経て、2001年に藤原ファイナンシャルプランナー事務所開設。現在は、主に資産運用に関する講演・執筆等を精力的にこなす。また、大阪経済法科大学経済学部非常勤講師としてファイナンシャルプランニング講座を担当する。著書に『株、投資信託、FX、仮想通貨… ファイナンシャルプランナーが20年投資を続けてみたらこうなった』(彩図社)など。