長期安定運用が難しい商品は対象外に

正確には、新NISAの成長投資枠では、「毎月分配型」投資信託以外にも、「信託期間20年未満」「高レバレッジ型」の投資信託も対象外とされています。

なぜなら、新NISAでは「安定的な資産形成」を目的としているからです。

毎月分配型は「頻繁に分配金を出すので複利効果が得られず、運用効率が悪い」、信託期間20年未満は「長期運用ができず、長期的な安定運用ができない」、レバレッジ型は「変動が大きいので、安定的な資産形成が難しい」との理由です。

ですので、新NISAでは、お目当ての投資信託に投資できないという可能性もあるのです。

ちなみにこの死角は、1つ目の「損益通算できない」とは違って、新NISAからのルールです。

従来のNISA(一般NISA)では、とくに制限はなく、毎月分配型などからも選べたのです。

ですので、従来のNISAを利用して、毎月分配型などを保有している人は、新NISAでの投資においては、とくに注意したいところですね。

新NISAの大幅パワーアップ(非課税枠の拡充・非課税期間の無期限化など)に目を奪われて、このルール変更を知らない人は少なくありませんので。

身の丈以上の金額を投資してしまう罠

そして3つ目の死角、それは新NISAでは、「身の丈以上に、多額の投資をしてしまう」可能性があることです。

運用収益が非課税となるNISAでは、儲かれば儲かるほど、お得となります。

そして現在、三十数年ぶりの高値をつける堅調な相場の中、投資をすれば、投資をしただけ儲かるような気がしてしまうのも、無理ないかもしれません。

そこで、新NISAで大幅アップした非課税枠を「使わないと損」とばかりに、自身の収入や資産、さらには投資経験や知識に見合わないだけの金額を投資に回してしまう危険があるのです。

新NISAで投資をしたからといって、投資のリスクが軽減されるわけではなく、投資商品の選択や投資方法によっては大きな損失を被ります。

つまり、多額の投資をすることは、大きなリスクを抱えることになるのです。

また、投資に資金を回し過ぎれば、それが家計を圧迫し、日々の生活がしんどくなるかもしれません。

そして、投資額が大きくなれば、それだけ日々の資産変動も大きくなるので、その資産変動に一喜一憂して、メンタル的にしんどくなるかもしれません。

すなわち、身の丈以上の金額を投資に回して、良いことは何一つないのです。

もっとも、この「身の丈以上に、多額の投資をしてしまう」とは、新NISA制度そのものの死角ではなく、あくまでも、新NISAを利用する人(の心理面)の死角です。

ただ、新NISAはあまりにも魅力的な制度であるがゆえに、多くの利用者が陥ってしまう死角でもあるのです。