「出まーす」「見まーす」スベっているのに気づかない男たち

なお、松本は「出まーす」と投稿した時点では、スキャンダルの渦中でも自らの一存で「ワイドナショー」に出演できると考えていたのだろう。吉本もフジテレビもタレントのコントロールができていなかったと言える。ハラスメントに対する意識のみならず、ガバナンス、そしてマネジメントにも問題がありそうだ。

また「出まーす」発言からは、松本がいちタレントでありながら番組のキャスティング権を有していたことを想像させる。すると文春報道での疑惑についても、「女性を斡旋させる見返りとして、松本が後輩に番組出演という報酬を与えていた」という推測が成り立ってしまう。ますます醜悪と言わざるをえない。

吉本興業の岡本昭彦社長=2019年7月22日、東京都新宿区
写真=時事通信フォト
吉本興業の岡本昭彦社長=2019年7月22日、東京都新宿区

1月14日の「ワイドナショー」では、田村淳は松本を擁護する態度を見せた。同じくTMレボリューションの西川貴教が「漁夫の利」「金儲け」「嘘も書く」と週刊誌を批判。ジャーナリストの安藤優子も「その場にいない者が何かを言うのはナンセンス」と文春報道について否定的な立場を示した。だが、「その場にいない者が何かを言う」ことを否定すれば、テレビコメンテーターという存在も、「ワイドナショー」という番組も成り立たないだろう。

松本のファンである著名人たちも擁護のお気持ちを表明

興味深いのは、松本人志がいなくなったら日本のお笑いは終わり、という論調だった。有名編集者の箕輪厚介氏はXに「文春が作る空気で消すのはおかしい。/おれが時代遅れだと言われようと、/おれは松本さんが好き。」とポエムを投稿。それに対してホリエモン(堀江貴文)が賛同の引用リポストをする。

SNS上で松本人志への感謝を述べる中年ファンも現れだした。「かつて思春期だった頃、鬱屈としていた自分は、斬新だった彼の笑いに救われた」という語りだ。それはまぎれもなく真実なのだろう。ただそのことと、性加害疑惑が放置されてよいのかは、別問題だ。

落語家の立川志らくはX上で松本を擁護し、被害女性へのセカンドレイプではないかと批判を受ける。そこで1月16日にはYouTubeに発言の場を移して「どれだけ松ちゃんにお世話になってきたの」「みんなで声かけてあげたらいいのに、芸人たち」と、松本を支えようと芸人仲間に呼びかけた。