ドラマ「大奥」のヒロインは現在の天皇家とも血縁関係にある
1月18日からフジテレビ系でドラマ「大奥」がはじまった。ついこないだまで、NHKでも、よしながふみ原作の「大奥」ってやってなかったっけ? ともあれ、時代劇自体が少なくなっている現代で、大奥はドラマとして格好の題材なのだろう。
よしながふみ原作の「大奥」は男女逆転のパラレルワールドだったが、今回の「大奥」は、将軍は男、正室は女という――まぁ、当たり前といえば、当たり前の設定である。
時代は江戸時代中盤、10代将軍・徳川家治(亀梨和也)の正室、五十宮倫子(小芝風花)が主人公だ。五十宮というからには皇族で、父は閑院宮直仁親王、祖父は東山天皇、甥に光格天皇がいる。ちなみに、現在の天皇家は光格天皇の子孫である。
10代将軍の御台所として皇族が嫁いできたわけ
徳川将軍家は3代将軍・家光以来、正室に京都の公家か皇族を迎えてきた。
家光の妹・東福門院和子が後水尾天皇の中宮(皇后)として入内し、兄のために高貴な公家の娘を花嫁候補として物色。関白・鷹司信房の娘で、家光より2歳年上の孝子を選んだらしい。しかし、家光は男色にふけって女性には全く興味がなく、正室との仲は最悪だったといわれている。
ともあれ、家柄の釣り合いだけで、徳川将軍家と京都の公家・皇族との婚姻はその後慣例となった。家光の例を見るまでもなく、何せ政略結婚なので、相性がマッチするとは限らない。5代将軍・徳川綱吉も正室とは不仲で、正室に殺されたという伝説すらある。
ところが、6代将軍・徳川家宣は夫婦仲が円満だった。家宣は温厚で優秀、自己主張をしない秀才タイプで、公家文化に憧れがあった。一方、正室・天英院はなかなかの才女で、相性バッチリだったようだ。天英院の父・近衛基煕は家宣との関係から朝廷での地位が向上した。これが京都の公家側にとって好材料になったのだろう。嫁に出す娘に「お前が公方(将軍)サンと仲ようなったら、お父ちゃんの出世間違いなしやで」と言い含めたに違いない。以後、徳川将軍と正室の関係は正常化に向かっていく。家治の父・家重も正室とは仲が良かったと伝えられる。