「必要な人が来たら譲ればいい」でよいのか

優先席に座る健常者には、「必要な人が来たら譲ればいい」と述べる人たちが多いようです。私には、この考えはあまりに無神経に思えます。

本当に必要としている人が、優先席が空いていない様子を見て、その席を諦めてしまうかもしれないとは考えられないのでしょうか。

譲ってほしければ言えばいい? なぜ彼らが健常者に頼まなくてはならないのでしょうか。

優先席に座る健常者は、優先席にそんな誰かが座っていたら、高齢者は近寄って来にくいと想像できないか、そのことを気にしていないのです。

電車の座席でマスクをし、間隔を保つ人々
写真=iStock.com/Fiers
※写真はイメージです

高齢者の気持ちを想像できないのか

優先席が必要な人は、ホームに列車が入ってきたときに、優先席の様子を見ているものです。

優先席の近くに乗ったら、一度、次の駅で乗ってくる乗客の様子を眺めてみてください。その中には、ホームに入ってきた列車の優先席の様子(空いているかどうか)をじっと見ている人がいるでしょう。

自分が座っている優先席は必要な人がいれば譲るという若者は、高齢者がその優先席に若者が座っているのを見たときに、どんな気持ちがするのかわからないのでしょう。

優先席に座っている若者に「どうぞ」などと言われ、お礼を言って座るのは、高齢者は口には出さないでしょうが、まったく釈然としないことです。

他のたとえで言えば、飲食店で行儀わるく肘をついて、くちゃくちゃと音を立てて食べている客が、他に客が入って来たら、あるいは他の客から何か言われたら止めればいいと考えている。それと同じで、ひと言で言えば振る舞いや考え方がロークラスなのです。

そんな行儀のわるい客は、多くの人にとって一瞬目に入るだけでも嫌なものです。店の外から見てそんな客層であれば、店内へ入るのを躊躇する人も多いのではないでしょうか。