「ぶんぶんダンス」がTikTokで大流行したLE SSERAFIM
また、紅白出場2回目の「ルセラ」ことLE SSERAFIM(ルセラフィム)は5人中2人が日本人。昨年の本番では、もともとはHKT48のメンバーだったサクラ(宮脇咲良)がトークを担当し、司会の櫻井翔と軽快に話していた。
2023年は「Eve, Psyche & The Bluebeard's Wife」という長いタイトルの曲でBoom boom boom boomと激しく踊るキャッチーな「ぶんぶんダンス」を披露し、TikTokなどで大流行した。紅白で歌う「UNFORGIVEN(feat. Nile Rodgers)」もYouTube再生回数が1億回を超えている。
これから日本でもブレイクしそうな他の第4世代、2023年にデビューした新人、ボーイズグループのRIIZE(ライズ)や、BLACKPINKの妹分であるBABYMONSTER(ベイビーモンスター)に日本人メンバーがいる。「近ごろの韓国のアイドルグループには日本人が入っている」ということも、ひとつの「わかっている」ポイントとして憶えておこう。
直前の12月29日に出演が発表されたNewJeansには日本人はいないが、メンバー5人は韓国、オーストラリア、ベトナムと多国籍。2023年7月にリリースしたアルバム『Get Up』は、アメリカの「ビルボード200」で初登場1位を獲得した。日本語の楽曲はなく、日本での活動は考えていないとも言われているが、日本の夏フェスに参加しており、今回、紅白にも出るということは、日本も重要なマーケットだと考えているからだろう。
紅白では生パフォーマンスをするのではなく、収録映像になるが、それはNHKとしては、それでも出てほしいほどの存在だということ。曲目は「OMG」「ETA」「Ditto」のメドレーで、始まりと終わりで5人がくっついてひと塊になる「Ditto」が特に人気だ。
NewJeansは歌のレベルもダンスのシンクロ率も高いし、美少女そろいで、ガールズグループでの随一の顔面偏差値の高さを誇る。K-POPでは歌の終わりにクローズアップでカメラに抜かれる人のことを「エンディング妖精」と呼ぶが、NewJeansメンバーは本当に妖精のようだと評判だ。
K-POPの知識が第2世代で止まっていないか?
韓国のアイドルグループで日本人が活躍するという現象は、日本のアイドル業界、音楽業界が韓国に後れを取り、優秀な才能が流出してしまっているということでもある。アイドルからすれば、韓国語を習得しなければいけないという言語の壁はあるにしても、ジャニーズ問題などで旧態依然としたイメージのある日本の芸能界より、韓国のグループに入った方が音楽性や芸術性の高い活動ができ、世界じゅうに顔と名前を知ってもらえる。当然、収入も桁違いとなれば、K-POPシーンを選ぶのは当然だろう。
第1世代、第2世代のグループは東方神起(トウホウシンキ)や少女時代(ショウジョジダイ)、BIGBANG(ビッグバン)がそうだったように、韓国から「輸出」されてきた。彼らは日本で活動して稼ぐために日本で合宿生活を送り、日本でしかリリースしない日本語の曲を歌っていたが、その展開は維持されながらも、いまやNiziUやJO1のように日本から「輸出」するという逆の動きが加速しているのだ。
日本の若者の熱狂を見ながら、そんな厳しい現実をも感じさせられる大晦日になりそうだ。
※YouTubeでのミュージックビデオ再生回数はすべて2023年12月27日現在の数字
1995年、出版社に入社し、アイドル誌の編集部などで働く。フリーランスになってからも別名で芸能人のインタビューを多数手がけ、アイドル・俳優の写真集なども担当している。「リアルサウンド映画部」などに寄稿。