BTSメンバー全員が兵役に入り、その空白期に躍進する若手
しかし、2023年の大ニュースとなったように、BTSメンバー7人全員が兵役に入り、活動休止してしまったので、もはやK-POPファンの関心はその後続のグループへと移りつつあるようだ。紅白に出場する7組を、ひとつずつ紹介しよう。
Stray Kidsは文字通り「さまよう子どもたち」という意味で、同名のオーディション番組をきっかけに結成された8人組だ(デビュー時は9人)。前述した重低音ボイスの持ち主フィリックス、ダンスの天才と言われるヒョンジンがイケメンとして知られ、顔面偏差値も高いが、グループ全体をまとめているのはリーダーにして最年長のバンチャン(26歳)だ。
2023年はまさにスキズ大躍進の年で、ミニアルバム『ROCK-STAR』は初動370万枚を売り上げ、「Billboard 200」で1位を獲得。日本のオリコンランキングでも初登場1位になった。10月には初の東京ドーム公演も成功させている。
紅白でパフォーマンスする「CASE 143 -Japanese ver.-」は、2022年に発表した最大のヒット曲(YouTubeでのミュージックビデオ再生回数は1億4000万回)を日本語で歌ったもの。「初めての感情により混乱した心を“事件発生”と例え、“I LOVE YOU”を意味する暗号“143”を使って愛を表現」(ソニー・ミュージック公式サイトより)したという。
スキズのすごさは、「CASE 143」もそうだが、作詞・作曲を自分たちでしているところ。3RACHA(スリーラチャ)と呼ばれるバンチャン、チャンビン、ハンの3人が楽曲制作や編曲を手がける。ダンスの振り付けもメンバーがすることが多い。それが第2世代までのアイドルグループと大きく違うポイントだ(作詞作曲をしていたBIGBANGの例もあるが)。
「セブチ」は楽曲から公演まで自主制作する
そんなセルフプロデュース力があるということは、同じ第3世代に属するSEVENTEENにも言える。セブチは13人という大所帯だが、その中にボーカルチーム、ヒップホップチーム、パフォーマンスチームがあり、楽曲制作からダンスの振り付け、コンサートの構成に至るまでメンバーが手がけ、「自主制作ドル」とも呼ばれている。
もし、自分の子どもや会社の後輩がスキズやセブチのファンなら、「彼らは自分たちで曲を作っているんだってね。アイドルなのにすごいね」とほめると、ちょっと「わかっている感」が出せるかもしれない。
グループ名がなぜSEVENTEENなのかというと、もともとは「平均17歳の17人組」というコンセプトで始まったから。しかし、長い選考期間を経てデビュー時は13人になり、そこから8年をかけて紅白出場を果たした苦労人たちだ。2023年の売り上げはStray Kidsを超え、1年間でアルバムを1600万枚販売という前人未踏の記録を出し、韓国では「千万アーティスト」とも呼ばれている。