海外のライドシェア運営会社に巨額の投資を行うソフトバンク

德永氏もこう続ける。

「経済財政諮問会議で、今の日本経済をなんとかしなきゃいけないということで、ニューフロンティアを作るんだと言い、ライドシェアのような象徴的なものを早く進めるべきだという議論がなされています。利用者は二の次のような議論で、なんとか合法化させたい、利権中心で行きましょうということです。

そもそも菅さんも神奈川の黒岩知事もそうですけど、『ライドシェア』と言っているのは道路運送法の法律の枠内の自家用有償旅客運送なんですよ。それがいつの間にかライドシェアをすでにやっているような話になって、マスコミも見に行って盛んに報じていますから」

全国の中でもいち早くライドシェアの導入を進めるべく、検討会議を設置したのが、神奈川県三浦市だ。黒岩祐治神奈川県知事は、10月20日に開かれた初めての会合の中で、「タクシー業界と一緒に神奈川版ライドシェアを作っていければ、新たなモデルになるのではないか」と語っているが、同会合では県のタクシー協会や地元のタクシー会社から制度設計などについて厳しい意見が相次いで出たことが報じられている(NHK横浜放送局/首都圏ナビ/「かながわ情報羅針盤」)。

神奈川県はなぜ需要がないライドシェアに前向きなのか

そもそも神奈川がなぜライドシェアにここまで前向きなのかというと、こんな事情もあるらしい。

「三浦市のライドシェアは、ほとんど需要がないと言われているんですよ。僕も研修などでよく三浦市に行きますが、昼間でも車が2~3台いるくらいで、夜も地元の人が飲みに行く程度。それなのに、知事がライドシェアをやらなきゃいけないと言って、翌日には三浦のタクシー会社に小泉進次郎さんが声をかけていた。さらに、次の日には県庁の担当者が来たんです」

ライドシェア問題のきな臭さは、政府が検討したわけでもない段階で、大手メディアが観光地のタクシー不足をこぞって報じ、解決策としてライドシェアを紹介していたこと。ちなみに、メディアを通してライドシェアを推進している人物を調べると、菅義偉氏、河野太郎氏、小泉進次郎氏の他、橋下徹氏、松井一郎氏、音喜多駿氏、孫正義氏、三木谷浩史氏、川邊健太郎氏、竹中平蔵氏、堀江貴文氏などの発言がすぐに見つかる。