万博予算は1250億から2350億円に倍増し税金負担も増加
大阪万博の行方が怪しい。今年に入って2回目の予算超過が発表された。当初の予定金額の1250億円から1800億円に加算されたのが2年前の2020年12月、それが本年の10月には2350億円となった。ウクライナ紛争はじめ資材高騰により予算増大が予想されていたとはいえ、約2倍になるとは、われわれ国民にとっても寝耳に水だ。
しかも万博協会(2025年日本国際博覧会協会)の石毛事務総長も国の西村経済産業大臣、自見万博大臣、それぞれも素人同然に「驚きを隠せない」「精査する」といった当事者意識を欠いた発言を繰り返している。この万博予算は開催地である大阪府市と国、そして経済界の3者で三等分し費用負担することになっている。
つまり、増加した予算1100億円の337億円相当を含め、全体の3分の1、783億円もの金額が国民全体の負担となるのだ。この責任をめぐり批判が高まるなかこれまで「大阪の万博」を強調し続けてきた大阪維新の会も「増額分は国の負担で」と、大阪万博から日本万博にイメージを塗り替えようと躍起だ。
大阪維新の会は「国全体の問題」にしようとしている
岸田首相も「絶対に成功させるべき」と維新の会・馬場代表に応えている。関西経済連合会の松本会長は「内容についてよく確認したい」との発言があり、関西の財界幹部からは「これ以上はびた一文出せない」と不快感を示している。もはや3者の押し付け合いが始まる様相だ。
さらに万博誘致の首謀者である大阪府の吉村知事に至っては「万博協会は説明が不十分」と強い口調で、万博協会に怒りをぶつけたとも報道され、当事者の中心にいながら、まるで被害者のふるまいである。
同時に、予算超過だけでなく大きな懸念材料となっているのが、万博の華といわれる各国パビリオン建設のめどがつかないという事態だ。開催まで600日を切ろうかという時期にもかかわらず、海外パビリオンの万博協会への建設申請が本年7月の時点ではゼロと報道された。
パビリオン(pavilion)その原義は、展示会や博覧会に用いられる仮設の建築物、テントいわば、お祭りの屋台のようなものを示すが、戦後の万博では、特に高度成長期に開催された前回の大阪万博EXPO’70をピークとして、建築の技術発展を背景に最新の素材や工法の見本市のような様相を呈すようになった。各国が斬新なデザインのパビリオンを自国文化の発揚をカタチにしたものとして建設し「万博の華」とも呼ばれる。その各国パビリオンが立ち並ぶ未来都市のごとき楽しげな風景こそが、これまでの万博会場のメインイメージだ。