入会せずに半年、PTA会長から手紙が届いた

そして10月のある日、仕事中に妻からLINEが届いた。

「学校から手紙が届いた。息子がかわいそうだから、PTAに入会しませんか?」というメッセージだ。

手紙ってなんだ? 突然のことで意味が分からず、とにかく帰ってから手紙を読むと伝えた。その日は帰りが遅かったため、帰宅すると妻と子どもたちは寝ていた。机の上には学校から届いた手紙が載せてあった。次の4枚だ。

・PTA退会届
・PTA退会の確認事項
・PTA退会による確認事項の補足
・PTA会費の集金封筒

正直驚いた。入会してもいないPTAの会長から、退会届が届いたのだ。何かの間違いかと思ったが、宛名に手書きで名前が書いてある。間違えたわけではなさそうだった。

退会届の説明には「10月末までに退会届を直接副校長へ提出すること」「退会届をPTA本部で受領するまで退会完了とならず、PTA役員選挙の対象となること」「退会するにあたっては、記載された確認事項にすべて同意すること」が書かれていた。

そもそも加入していないのに退会届を強要し、その退会方法のハードルが高く、退会することによって多大なデメリットがあると脅される、ツッコミどころ満載のブラックPTAからの手紙だった。

夕方の誰もいない教室
写真=iStock.com/Yoshitaka Naoi
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脅しとも受け取れる「非加入の場合のデメリット説明」

まず、退会届の提出が副校長へ直接手渡しなのがおかしい。普段のおたよりと同じく、書面で、担任経由で提出すれば問題はないはずだ。わざわざ学校へ出向いて副校長と話して受け取ってもらうことに対して、学校の内情を知らない妻は「子どもが嫌な思いをさせられたらどうしよう。先生から何か言われないか心配だ」と不安がっていた。退会しようと思っても、同様に諦めてしまう保護者がいるだろう。

また、入会していないのに、退会届を本部が受領するまで、PTAの役員になる可能性があるのは意味が分からない。もし役員に決まったら、退会届は受け取ってもらえるのか。おそらく「あなたが辞退すれば、他の方が代わりに役員をやることになる」というプレッシャーを与えたいのだと思う。退会の意思を示している人が罪悪感を持つ仕組みを残しているのが恐ろしい。

そして、「PTA退会の確認事項」に書かれているPTA退会のデメリットは、完全に非会員に対する脅しに感じた。内容を抜粋して記載する。

・行事で全員に配られる記念品にはPTA会費を使って購入しているものがあって、退会する場合は記念品を用意できない。その場合には記念品を使った体験、作成はできなくなる。
・記念品は実費で支払ってもPTAでは用意しない。もし必要なら自分で手配してもらう。
・PTAで主催される授業外に行われる記念行事への参加はできなくなる。
・PTAで主催される授業外に行われるイベントには一切参加することはできない。